新入社員が「配属後」に掘りがちな6つの墓穴 「研修中は良かったのに」と思われる人の特徴

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一般に新入社員は他部門に対する関心が弱いものですが、マーケティングや営業といった、キャッシュを稼ぐ仕事を自分の仕事でないと思ってしまうというのは、その中でも最も痛い墓穴です。

そうした人は、自分の給与は天から降ってくるものと思っていることが少なくありません。

しかし、実際に給与が天から降ってくることはありません。自分の給与をもたらしてくれるのはあくまで顧客です。顧客が自社商品を購入し、キャッシュをもたらしてくれるからこそ、自分の給与が支払われたり、会社としても先行投資ができるのです。企業人である以上、キャッシュがどこから来るのかに意識を払うことは必須です。

キャッシュを創出する一員であるという意識を持つ

そして、どのような部門にいようとも、自分もキャッシュを創出する組織の一員であるという意識を持ち、どうすればそれに貢献できるかをしっかり考えることが必要です。たとえば、コールセンターの方であれば、顧客のクレームから商品改良のヒントをつかむ、あるいは、お客様を怒らせて離脱されるのを未然に防ぐというのは基本中の基本です。

工場の方であれば、顧客が望むタイミングで高い品質のものを作り、また納期を順守することも大事です。上司から言われたとおりに動くだけではなく、それがどのようにキャッシュをもたらす顧客につながっているかを意識することが非常に大事なのです。

ここでは特にマーケティングや営業について触れましたが、会社のあらゆる人間が他部署について理解し、リスペクトをもって対話することは、組織に非常に大きなメリットをもたらします。

そのためにも、そもそも組織とはどのような全体像で動いているのか、あるいは、組織を効果的に動かすうえでどのような工夫ができるのかを知ることは、新入社員にも非常に重要な知識、知恵となります。

MBAで教えている経営学は、そうした知識や知恵の集大成とも言えるものです。ある程度のポジションになってからあわてて勉強するのではなく、新入社員のうちからこれらについて問題意識を持ち、学び、態度や行動を変えていくことこそが、環境変化の早い昨今のビジネスパーソンに求められるといってもいいでしょう。

嶋田 毅 グロービス経営大学院教授、グロービス出版局長

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しまだ つよし / Tsuyoshi Shimada

グロービス経営大学院教員、グロービス出版局長。東京大学理学部卒業、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計160万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」のプロデューサーも務める。著書に『MBA 100の基本』『ビジネスで使える数学の基本が1冊でざっくりわかる本』『KPI大全』(以上東洋経済新報社)、『グロービスMBAミドルマネジメント』(ダイヤモンド社)など。経営戦略、テクノベート・ストラテジー、研究プロジェクトなどの講師を務めるほか、各所で講演なども行っている。

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