「バブルに狂った男たち」今だから話せる真実 「バブル紳士の用心棒」が内幕を明かす

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『住友銀行秘史』『野村証券第2事業法人部』『バブル 日本迷走の原点 』などの”バブル本”が売れている。

購入者層は当時社会人としてバブルを経験した50歳以上が大半かと思いきや、大手書店のデータによるとそれは全体の3割強程度。意外にも半数を占めるのが30~49歳だ。19~29歳も1割程度いる。バブル未経験世代の関心が高いのだ。

河合弘之弁護士は「バブル紳士の用心棒」だった

バブル本には一世を風靡した「バブル紳士」や「怪人」たちが複数登場する。

「長銀(日本長期信用銀行)を潰した男」の異名を持つイ・アイ・イ・インターナショナルの高橋治則社長、本業は不動産業ながら流通株の買い占めで業界再編をブチ上げた秀和の小林茂社長、国際航業など企業の乗っ取りを企てた仕手集団・光進の小谷光浩代表……。

いずれもバブル未経験世代にとってはなじみの薄い人物であろう。

週刊東洋経済は5月20日号(5月15日発売)で『最後の証言 バブル全史』を特集した。日本を失われた20年へと追い込む結果になったあの時代とは何だったのか、当時を知るキーパーソンの証言を中心に読み解く内容だ。

バブル経営者の典型は超実利主義者の高橋治則氏

週刊東洋経済5月20日号(5月15日発売)の特集は『最後の証言 バブル全史』です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

この特集でバブル紳士たちを間近でみてきた河合弘之弁護士に彼らの人物評を聞いた。河合弁護士は原発運転差し止め訴訟や映画「日本と原発」シリーズの制作など今は反原発運動で知られるが、バブル期には数々の経済事件で彼らの弁護に立つ「バブル紳士の用心棒」だった。その記憶に残る彼らの姿とは。

「彼こそがバブルの寵児、バブル経営者の典型」――。河合弁護士がそう評すのは、イ・アイ・イ・インターナショナルの社長だった高橋治則氏(2005年没)だ。

イ・アイ・イ・インターナショナル社長だった高橋治則氏

高橋氏は大学卒業後の1968年に日本航空に入社。その後実業家に転じ、実父の経営するイ・アイ・イを電気機器卸売会社からリゾート開発会社に変えた。「環太平洋のリゾート王」との異名をとり、ホテルやリゾート開発地を求め自家用ジェット機で海外を飛び回った。この自家用ジェットに大蔵省の官僚を乗せ接待旅行をしたことが、後に問題になったことを覚えている人も多いだろう。

河合弁護士いわく、「彼は超実利主義者。その場その場の勘はよかったし、実利を獲得するのもうまかった」。ただ「その実利は決して長期的展望に立ったものではなかった」と分析する。だからこそ、「富を生み出すことではなく富を動かすことに興味のあった” バブリスト”の典型」と論じる。

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