店舗内に”住み込む”ほどのマックバカ 外食業界最強の出店システム"マックジス"とは?

✎ 1〜 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10
拡大
縮小

転機は2012年春に「今まで培ったノウハウを本にまとめないか」と提案を受けたこと。「外食を含め小売業界には、つらそうに仕事をしている店長が多い。店長の仕事はもっと楽しいはずだ」(松下氏)。マクドナルドで学び、グリーンハウスで磨きをかけたコーチングとエリアマーケティングのノウハウを生かそうと独立を決意した。社名はコーチングとエリアマーケティングを取って、ピープル&プレイスにした。2012年7月に独立し、翌年春には『競合店に負けない店長がしているシンプルな習慣』をいう本を出版した。

松下氏は「マクドナルドのノウハウは世間でもっと活用できる」と説明する。「マクドナルドの店舗には5人や10人ではなく、100人ぐらいのアルバイトがいる。年齢層も高校生から80歳まで幅広い。属性のバラバラなアルバイトを集めて、やる気にさせて、売り上げを上げるというノウハウは、日本だけでなく世界のどこでも通用する。何事にも変えられない武器だ」。

1980年、アシスタントマネジャー時代の松下氏

これからの狙い目は美容師業界

現在はさまざまな会社にコンサルティングをしているが、中でも松下氏が期待を寄せるのが美容師業界だ。「外食業界は遅れていると思っていたが、それよりも美容業界はもっと遅れている」(松下氏)と指摘する。コンビニより数が多く、顧客満足に対する意識は高いのに、経営分析をする仕組みがなければ、成功事例をヨコに展開していく仕組み、つまり小売業でいうスーパーバイザーの機能がない。業界団体が集まって、2013年より活動を開始したビューティーサービス・スーパーバイザー・アカデミーで顧客満足や立地分析について講義をしている。

それが「マクドナルドを含め36年間、外食業界で働いてきた私の恩返し」(松下氏)。次は美容業界にマックバカのノウハウを注ぎ込むもうとしている。

(撮影:尾形 文繁)

松浦 大 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT