バフェットに学ぶ、儲かる投資「7つの視点」 86歳で「読書」や「企業研究」に1日6時間

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「アマゾンやグーグル(アルファベット)には投資し損なった。ここまで成功するとは思わなかった。新しいテクノロジーの企業で勝つ企業を見つけ出すのは難しい。アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)はすばらしい経営者だ。eコマースとクラウドサービスをゼロから立ち上げ、誰も太刀打ちできない規模にまでした。ここまで成功するとは思わなかった」と素直に失敗を認めた。

マンガーは言う。「グーグルやウォルマートに投資しなかったのは、最悪の誤りだった。しかしバフェットがアップルに投資したのはいい兆候だ。気が狂ったか、学んでいるかの証しだ。私は、学んでいるからだと思いたい」。「自分の土俵で仕事をしろ」というバフェットをして、アマゾンやグーグルに投資しなかったことを悔やんでいるのを見るのは不思議な気もする。だが、一方でつねに学び続け、この齢にして土俵を広げる努力を続けているのも事実だ。

バフェットは「965億ドルもの現金を抱える中、企業買収案件ではますます他社との競争が激化し、適当な案件が少なくなっている。いずれ遠くない時期に配当を出したり、簿価の1.2倍になれば買うことになっている自己株買いの基準を見直したりすることもあるだろう」とした。

バークシャーの買収の特徴は、現経営陣に経営を任せることが前提なので、買収価格の高低より、引き続き同じ仕事ができるかどうかに関心のある企業は、バークシャーに買われることを期待する。プライベートエクイティとの買収価格のバッティングが起きる一方で、現金が積み上がり、自己株買いや配当が有力な選択肢になっていることは注目に値する。

マクロやセクターでは見ない

4.これから投資するならどの業種か?

今後投資するにあたって「どのセクターが最も魅力的か」、逆に「どのセクターが最も魅力がないか」との質問に対し、バフェットは「われわれはマクロやセクターでは見ない、むしろ案件ごとに見る。消費者行動などの見通しはたいへん難しくなっているが、買う決定は5分以内にできる。しかし企業買収は、レバレッジを効かせる投資ファンドにより、競争が激化している」。

マンガーも言っているが、低金利での借り入れで買収した後に高値に吊り上げる投資ファンドに買収案件をさらわれることを示唆している。一方で、「バークシャーの買収で経営を安心して続けられることを希望する経営者からの申し出や声掛けを待つ」というスタンスを変えていない。

5.確実に当たる投資案件は、どう探すのか?

「スイートスポット」(確実に当たる)案件は、どうやって探し出すのかとの質問に、バフェットは「見ればわかる。われわれは、この先20年は競争優位を確保でき、信頼できる経営者がバークシャーのカルチャーに加わりたいと考える企業を買う。その基準でぴったり合致したのが、1972年に買ったチョコレートのシーズキャンディだ。妻やガールフレンドに、バレンタインデーに『これ、安かったから買った』とは言えないだろう」。バフェットは、「野球はストライク3つで終わりだが、われわれはいつまでもスイートスポットを待てる」としている。

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