トヨタ自動車、今期の営業利益予想は約2割減 2年連続の減収減益、想定為替レートは105円 

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日野自動車<7205.T>とダイハツ工業を含めた今期のグループ世界総販売計画は1025万台で、前期から約1000台少ない。新車効果が一巡する日本では前期比3.3%減の220万台、北米では0.6%減の282万台を想定する。

米国市場ではインセンティブが上昇傾向にあり、永田副社長は「競争が激化している」とし、「過度なインセンティブ競争に陥らないよう適切にコントロールしたい」と述べた。

一方、永田副社長はメキシコでの新工場建設計画は「進行中」とし、進出を決めた以上は「地域への責任がある」として計画通り進める意向を強調した。メキシコ新工場では米国向け「カローラ」を生産する予定。同工場の建設計画については、米国第一主義を掲げるトランプ米大統領が米国で販売する車は米国で生産するよう求め、批判していた。

「10年、20年先の種まき続けたい」

今期の研究開発費は前期比1.2%増の1兆0500億円と4年連続で1兆円を超える見通しで、設備投資も同7.3%増の1兆3000億円と5年連続の1兆円台が続く計画だ。豊田社長は研究開発費、設備投資、株主還元いずれも1兆円規模で続け、持続的に繁栄していくことがトヨタの規模の会社が果たすべきステークホルダーに対する「1つの責務」との認識を示した。

現在の自動車産業では自動運転やAI(人工知能)、ロボティクス、コネクテッドカー(ネットにつながる車)といった新領域へのパラダイムチェンジが進んでいる。こうした新領域を「重要な鍵」と位置付け、「10年先、20年先を見据えた種まきを続けたい」と述べた。そうした中、「売り上げが伸びないとなると、何かをやめる、変えるという決断が必要になってくるが、なかなか苦労している」とも語り、難しさをにじませた。

同時に発表した17年3月期(前期)連結決算(米国会計基準)によると、営業利益は前期比30.1%減の1兆9944億円、売上高は同2.8%減の27兆5972億円、純利益は同20.8%減の1兆8311億円だった。

豊田社長は、前期は「為替の追い風も向かい風もない中で、まさに等身大の実力が表れた」と述べ、「目先の利益確保を最優先するのではなく、未来への投資も安定的・継続的に進めていくという意思が表れた」とも強調。今期は「等身大の姿を真正面から見据え、徹底的に競争力を磨いていく年になる」と語った。

(白木真紀)

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