Google検索の「青色」に隠された最強の分析力 世界の勝ち組企業はビッグデータをこう使う

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グーグル検索結果のリンクで見慣れているあの「青」。実は、41種類もの青から因果関係分析をもって選ばれた、最適な青でした(撮影:東洋経済新報社)

「ビッグデータ」という言葉はビジネスの現場でもすっかり定着し、取引先や上司から「データによる根拠を示してください」というリクエストを受けることも多くなった。

しかし、正直なところを言えば「データ分析」という考え方はあまりなじみがなく、目の前にある膨大なデータを扱いきれずに困っている、もしくは取りあえず適当に図や表を作ってみて、ある程度見栄えが良さそうな結果を報告する、という事態に陥っている方も多いのではないだろうか。

新聞やTVにすら、あやしいデータ分析結果が満載

データをビジネスに生かすための「データ分析の力」が必須となるのは、自らが分析の当事者である場合に限らない。社内での意思決定や取引先からの説明にもデータ分析が多用されるようになってきているため、誰かの分析結果にだまされないためにも、一定のスキルを身に付けておく必要が出てきているのだ。

実際、新聞やTVを見てみると、世の中は怪しいデータ分析の結果であふれている。以下は筆者が実際に見掛けた新聞記事の抜粋である。

「広告費を倍増した結果、アイスクリームの売り上げが50%伸びた」
 「新社長の改革の成果によって株価が30%上昇した」
 「政府の補助金政策の効果で地域経済が活性化した」
  「マンションの高層階に住むと、妊娠しにくくなる」

これらの記事は「データ分析から導かれた因果関係」について主張されている。広告(X)が売り上げ(Y)に影響した、というXからYへの因果関係という意味だ。

しかし、注意が必要なのは、多くのデータ分析結果で述べられている主張は「XとYという2つのデータの動きに関連性があった」という相関関係を示しているにすぎず、X→Yという因果関係を示せてはいない。

たとえば、広告費とアイスクリームの例を考えてみよう。広告費を倍増したこと以外にも、アイスクリームの売り上げが上がった「別の要因」がありうる。たとえば、その年は例年に比べて猛暑になったのかもしれない。もしくは、日本経済が回復を始めて消費者の財布が緩み始めたのかもしれない。そういった「別の要因」がある場合、単に「広告費」と「売り上げ」という2つのデータの動きを観察しただけでは、「広告がアイスクリームの売り上げを伸ばしたのだ」という因果関係を特定できないのである。

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