固定資産税に翻弄される人たちの悲痛な叫び

時代に合わなくなっているのに変わらない

司法書士はこう嘆く。

「ただでもいらないと言われます。最低限、雑草取りはしなければいけません。それでも固定資産税は払わないといけない。公示地価は大きく下がっていますが、利用価値を見いだす人がいないので時価はもっと下がっており、固定資産評価額が時価を逆転した状態です。税金を払うために『管理費』名目のおカネを積めば、ようやく引き取ってくれる人が現れるかどうかです」

要するに「マイナス価格」での土地取引だ。だが、そんな取引の仲介を頼める不動産業者はまずいないという。宅地建物取引業法で、不動産売買の仲介手数料は「200万円以下は5%が上限」と定められている。取引価格がマイナスになることは想定していないかもしれないが、仲介手数料を取ることが違法になる可能性が高い。

司法書士が担当した別の物件で、約100平方メートルの土地に立つ木造2階建ての家は、固定資産評価額が約250万円だった。相続人が買い手を見つけたが、実際に売れた価格は10万円。もし不動産業者が仲介しても、手数料は消費税抜きで最大5000円にしかならない。

地元の不動産業者は、こう話す。

「物件の仲介をして売るためには調査が必要です。登記簿で権利関係を確認したり、敷地の境界を確認したりします。境界がはっきりしなくて測量が必要だと何十万円もかかります。ダニがいれば駆除しなければいけないし、雨漏りがあれば直さなければいけない。5000円では話になりません」

課税額の計算ミスが頻発

固定資産税は納税者が自ら算出して申告する所得税と違い、各自治体が税額を計算して納税通知書を送ってくる「賦課課税方式」である。ところが、課税する自治体の計算ミスが、各地で表面化している。

茨城県つくばみらい市は2015年1月、住宅用地での課税のミスが123件あったと公表した。住宅用の土地は、固定資産税を計算する際、200平方メートルまでは評価額が6分の1になり、それを超えても3分の1に下がる特例がある。それが適用されていなかった。

市は10年間さかのぼって取りすぎた税金と利子にあたる還付加算金を合わせて、計約7300万円を返した。固定資産税は、税額が国民健康保険料の計算の一部にも使われるため、保険料の取りすぎにもつながった。市は国保に入っていたことがある55人に、過去10年分の計400万円余りを返した。

市税務課によると、住宅と土地の担当者が別で、家が建ったことを確認した住宅の担当者が土地の担当者に伝えることを忘れたり、伝えても土地の担当者が固定資産税に反映することを忘れたりしたという。住宅の担当者が土地への反映にも責任を持つようにすればミスは減るはずだが、「つくばエクスプレス沿線の住宅開発が続いているため住宅の担当者は忙しく、土地まではできない」(税務課)と、いまの体制は変えないという。

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