日経平均は当面2万円前後で高止まりする ムーンウォークではなく、バンドウォーク?

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ボリンジャーバンドには、特徴的なポイントが3つある。結論から言うと、今回覚えていただきたいのは、3つめのバンドウォークである。

① スクイーズ
② エクスパンション
③ バンドウォーク

① のスクイーズとは、価格が横ばいとなり、バンドが狭くなっていくことを言う。ボリンジャーバンドを逆張りで使えば、一見、何回も売買益を積み上げられるようにみてとれる。だが、実際、トレードで勝ち続けるのは容易でない。一方、このスクイーズ期間が長ければ長いほど、価格エネルギーが蓄積され、いったんトレンドが発生するとその後の値動きは大きいとされている。

② のエクスパンションとは、バンドの両端が拡大することを言う。価格が上下に放れてトレンドが発生し、さらに相場の勢いが増す。一方、オシレータ系指標(ストキャスティクスやRSI=相対力指数など)が上限や下限に張り付き、売買判断に戸惑うケースでもある。

③ のバンドウォークとは、ボリンジャーバンドの上限や下限に沿って、価格が一方向へ歩き出した状態を言う。日中の値幅も大きくなりやすい。たとえば、価格(特に終値ベース)が+2σを上回ったら、順張り(トレンドフォロー)で買いポジションを検討する局面ともいえる。チャート上では、ウォーク(歩く)というより、ラン(走る)のイメージだ。

ボリンジャー氏は、「利益を積み上げるチャンス」と指摘している。

当面の日本株は高止まりへ

さて、以上の情報を基に、ボリンジャーバンドを使った日経平均株価のチャートをもう一度眺めてみよう。2017年1~3月に日経平均株価はモミ合い相場を続けていたが、ボリンジャーバンドにおける「スクイーズ」を形成していた。

4月には北朝鮮等の地政学リスクの高まりから円高が進行、日経平均株価は1万8335円(4月14日終値)までいったん下放れたものの、ボリンジャーバンドにおける「エクスパンション」のきっかけとなったのが見て取れる。そして、いまは+3σにほぼ達している。一般的にボリンジャーバンドでは、±2σ(約95%)がよく使われているが、実は±3σ(約99%)も適宜取り入れることが肝要だ。ここで、さきほどのバンドウォークの話を思い出していただきたい。すなわち、日経平均株価は+2σを上回っているので、順張りで買いを検討する局面かもしれないということだ。

一方、ボリンジャーバンドとは関係なく、需給動向を見ると海外勢は結局4月の日本株を買い越した。買い越しは17年連続。8日の東証1部売買代金も、今年初となる3兆円超えに達した。2017年5月9日は「トランプショック」(2016年11月9日)から6カ月経過の日だったが、信用取引期日到来にともなう「売り方」の買い戻しも重なったもようだ。

また、国内企業の決算発表がピークを迎えつつあるなか、5月は株主総会を控え、自社株買いを発表する季節でもあり、これが日本株にとって追い風になりそうだ。国内企業の手元資金は順調に増えており、2018年3月期の自社株買い設定枠は年6~7兆円近くが見込まれる。これが相場を下支えしそうだ。こうして見ると、外部環境などの激変がないかぎり、日本株は高止まり、ないしは一段の高値に進む可能性がある。

さて、私が所属するNPO法人・日本テクニカルアナリスト協会では5月20日(土)に、ボリンジャーバンドを考案したジョン・ボリンジャー氏を日本にお招きし、福岡で講演会を開催します(11月は東京や大阪でも開催予定)。著名なジョン・ボリンジャー氏に直接会えるまたとない機会です。講演後もボリンジャー氏と簡単な懇親の場を設ける予定ですので、ご興味のある方はぜひこちらからお申し込みください。

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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