日本人はなぜ「生活保護受給者」に厳しいのか

誤った権利意識は許されないが全てではない

怒りを覚えるケースもありますが、問題のすべてではありません(写真:Graphs / PIXTA)
精神疾患によって生活保護を必要とする人がいる。こうした「受給者」に対する日本人の視線は、たびたび「不寛容さ」によって攻撃的になる。
実際、生活保護の不正受給の背景には、「もらえるものは何でももらっておこう」という誤った権利意識を持つ人がいることは無視できないが、それがすべてではない。
病気を抱えた人を日々診断している精神科医だからこそ見える、生活保護の現実とは?
幻冬舎新書『他人を非難してばかりいる人たち バッシング・いじめ・ネット私刑』が評判の精神科医・岩波明氏が、日本人の不寛容さを語る。

期限ギリギリまで生活保護の支給を受ける

「幻冬舎plus」(運営:株式会社 幻冬舎)の提供記事です

これまでも長年にわたって、“生活保護というシステム自体”に対する批判、“福祉行政のあり方”に対する批判は絶えなかった。この二つは、方向性が逆のものである。前者は「生活保護のシステムそのものが不公正である」という批判であり、後者は「弱者の保護のために、行政はもっと真摯に対応すべきである」という論調であった。

数年前、ある人気芸人の母親が生活保護を受給していることが判明したとき、なぜ高収入の息子が経済的に援助しないのかと厳しいバッシングが生じたことは記憶に新しい。一方で、生活保護を打ち切りにされた結果、食べ物を買う金もなく餓死したなどという衝撃的なニュースが報道されることもたびたびみられ、このようなケースにおいては、行政側が厳しくバッシングされてきた。

行政の問題として、平成29年4月12日の産経新聞ニュースは、次の記事を伝えている。

【生活保護廃止された翌日に自殺 東京立川市の40代男性 弁護士「因果関係強い」】
生活保護の廃止決定処分を受けた東京都立川市の40代男性が処分翌日に自殺したとして、弁護士らが11日、小池百合子都知事あてに、原因究明と再発防止を求める文書を提出した。遺書は見つかっていないが、弁護士の宇都宮健児氏は「生活保護の廃止と自殺との因果関係は極めて強いと判断できる」と指摘。一方、立川市は「保護の廃止決定は適切に行っている」としている。
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