松屋と吉野家の「超絶進化」に見る牛丼の未来 空前の人手不足に、両社が模索する「打開策」

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セルフ式店舗が続々と誕生

食事後は、カフェのように「返却口」にトレイや食器を返却する。従業員は、基本的に提供口と奥の厨房にいればよく、接客のための移動は少ない。接客や商品提供のためU字型カウンター内を従業員がせわしなく動いていた従来店のイメージはない。

運営元の松屋フーズはこの本郷三丁目店と同様のセルフ式店舗を、主に既存店を改装する形で出店している。2016年9月~2017年3月にかけて、穴川オーツーパーク店(千葉県)、神松寺店(福岡県)、湘南台店(神奈川県)がセルフ式店舗になった。

松屋がセルフ式の実験店を出した狙いは、労働時間の削減や生産性の向上だ。多くの外食チェーンと同様、松屋でも従業員確保が課題となっている。

たとえば、生産性向上のために2017年3月までにグループ全店、約1000店の券売機を入れ替えた。ボタンの数が限られている従来型券売機からタッチパネル式券売機に変更することで、新メニュー導入時の券売機設定時間や、小鉢の種類を客に聞く時間が不要になった。

そして、店舗設計の見直しにまで踏み込んだのがセルフ式店舗だ。本郷三丁目店はオープンから1週間あまりでまだ手探りだが、松屋フーズの担当者は「従来店と比べて、セルフ式店舗はピーク時の従業員を1人削減するといったことを目指している」と話す。

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