連休前後に慌てて日本株を売る必要はない いま個人投資家が注視すべき指標とは何か

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4月14日を底値にした株価の上昇は、「たまたまよい結果となっただけであり、株価の上昇も運がよかっただけ」との指摘もあろう。もちろん、不透明要因がここまで払拭されるとは想像していなかったことも事実だ。

一方で、これはあくまで推測でしかないが、筆者は米国の対北朝鮮政策が奏功するのではないかと考えていた。つまり、米国はシリア空爆を米中首脳会談の最中に行い、中国に米国の力と本気度を示す一方、貿易面のメリットを示すことで中国を取り込むことに成功した。その結果、中国は北朝鮮に対して一段と強い調子で対話による解決を促したとも考えられる。一方で、米国は空母と原子力潜水艦を配備し、軍事力を見せつけることで圧力をかけ続けた。

この結果、4月25日には朝鮮人民軍の創建85年の節目を迎えたものの、北朝鮮は日本海沿岸付近で過去最大規模の砲撃訓練を実施したにとどまり、核実験など重大な挑発だけは避けた格好となっている。北朝鮮は米国の軍事力と中国を介した戦術に対して、「現状は無理はしない」ことを選択した。楽観はできないが、ひとまず北朝鮮情勢の悪化という憂慮すべき材料は頭の片隅に追いやってよさそうである。

フランス大統領選への市場の心配は杞憂に終わりそう

一方、フランス大統領選に関しては、第1回投票の結果が市場にとってフレンドリーな結果になったことが好感された。中道系独立候補のエマニュエル・マクロン前経済相が首位で決選投票に進出しただけでなく、最新の世論調査でもマクロン氏が国民戦線のマリーヌ・ルペン氏を支持率でリードしていることが市場に安心感を与えたといえる。

いよいよ5月7日にはマクロン氏とルペン氏による決選投票が実施される。結果が出るまで気を抜けないものの、現状ではマクロン氏の圧勝が見込まれている。市場の心配は杞憂(きゆう)に終わるだろう。そもそも、この材料がこれほどまでに重視されるべきものであるかという点に、筆者は大いに疑問を感じている。確かに、EUを主導するドイツと双璧にあるフランスが、EU離脱に向かうような事態になれば憂慮すべき事態だ。とはいえ、フランスはフランスである。世界経済や企業業績に大きな影響を与えるような事態にまで発展することは、むしろ考えにくいだろう。

そのため、実は筆者はこの材料についても、ほとんど重視していなかったというのが本音である。一部のマスコミは、ルペン氏を「フランスのトランプ」などと持ち上げていたが、言いすぎではないか。まして、ドナルド・トランプ氏が米大統領になってからは、むしろ保護主義的な動きやポピュリズムといった風潮に、わずかではあるが歯止めがかかり始めた可能性さえある。トランプ氏自身が変節している可能性さえある。こう考えると、トランプ氏自身がまがりなりにも現実路線を選択し、米国第一主義の本質を現実的なものに置き換えるのであれば、これ自体が市場を牽引する強いドライバーとなり、市場は再び活況を呈することも十分に考えられる。

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