「GINZA SIX」、再開発で浮かんだ6つの秘密 松坂屋からの華麗なる変身を大解剖する

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GINZA SIXは髙さ56mの”銀座ルール”で建てられている(写真提供:森ビル)
世界の"GINZA”を次のステージへとの思いを持って誕生した「GINZA SIX」は、実はさまざまな形で街と一体化した施設でもある。その秘密を、森ビル都市開発本部開発事業部の御厨宏靖さんに聞く。

銀座6丁目の松坂屋銀座店の跡地を含めた2つの街区、約1.4ヘクタールを一体的に整備した再開発事業と、銀座エリア最大級となる複合施設の名称。地上13階、地下6階の建物内には、商業施設に加え、1フロアの貸室面積約6100㎡という都内最大級のオフィス、文化・交流施設、屋上庭園が備わっている。241店舗の商業フロアは、半数以上の121店舗が旗艦店。地下3階には、能楽の最大流派である観世流の拠点「観世能楽堂」が松濤から移転した。施設中央にある吹き抜け空間に設置された草間彌生の新作インスタレーション「南瓜」など、森美術館監修によるパブリックアートが展示されている。

どの店も意匠が異なる独自の世界観

『東京人』2017年6月号(5月2日発売)。書影をクリックするとアマゾンのページにジャンプします

6つの印象的なファサード。上部が「ひさし」で下部が「のれん」。

銀座のメインストリート、中央通りに面した間口はなんと115m。GINZA SIXは、この長い間口を利用し、世界的ブランド店がずらりと6つ並ぶ。そして、そのどの店も意匠が異なるという、世界でも稀なファサードが完成した。「建物の外装は建築家の谷口吉生さんの手によるものです。『のれん』と『ひさし』をイメージしています。ブランド店のファサードが『のれん』部分で、それぞれの店が世界観を独自に構築しています。『ひさし』部分は、建物全体の統一感を表現しています。歩行者の目で見るとバラエティに富んだお店が並び、街並みの連続性を保ち、建物全体を引いて見てみると、全体の統一感が感じられるようになっています」。

2街区を組み合わせ三原通りを拡幅し、観光バスの乗降所をつくった。

三原通りの拡幅などで、中央通りの観光バスの停車が少なくなる

GINZA SIXは、単なる松坂屋銀座店の“建て替え"ではない。百貨店跡地に加え、近隣の土地も含めて行う都市再開発だ。この再開発を行うにあたり、2街区を分断する区道を三原通りに付け替え、一体化した街区をつくり出した。「地権者、近隣の住民、自治体の方など、この土地を深く知る人ならではの要望をたくさんいただきました。近年増加している大型の観光バスの乗降所や、建物内を通り抜けできる道路などは、皆さまが持っていた街の悩みや課題を解決するために設けたもの。よりよい場にしたいという思いがようやく形になりました」。これまで、さまざまな都市の再開発を手がけてきた森ビルのノウハウが、GINZA SIXの開発に生かされている。

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