学歴がなくても、世界で活躍する人の真実 伊藤穰一×波頭亮 (上)

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波頭 亮 (はとう・りょう)
経営コンサルタント
1957年生まれ。東京大学経済学部経済学科卒業。82年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。88年コンサルティング会社XEEDを設立。幅広い分野における戦略系コンサルティングの第一人者として活躍を続ける。また、明快で斬新なヴィジョンを提起するソシオエコノミストとしても注目されている。著書に『成熟日本への進路』『プロフェッショナル原論』(いずれもちくま新書)、『リーダーシップ構造論』『戦略策定概論』『組織設計概論』(いずれも産能大学出版部)、『日本人の精神と資本主義の倫理』(茂木健一郎氏との共著、幻冬舎新書)、『プロフェッショナルコンサルティング』(冨山和彦氏との共著、東洋経済新報社)などがある。

波頭 欧米では、自分の意見を持たない人は価値がないといわれるように、自分独自の意見を持っていないとグローバルでは通用しません。あなたの意見は? あなたのオリジナリティは? それが問われる時代になっているんです。ところが、日本のベンチャー起業家には、オリジナリティに対するこだわりを持つ人が少ない。それが大きな問題だと思っているんです。

伊藤 僕もそうだと思います。グローバルなステージでは、オリジナリティがあれば少ない人数でもレバレッジが利くので、たくさん人がいるから勝てるというモードではありません。だから、波頭さんがおっしゃるように、オリジナリティを持った人たちをいかに育てていくかということが重要になってくる。

僕は、教育の問題が大きいかなと思っているんです。日本における大学の意味は、いい企業に就職するためのブランドでしかない。将来は大企業のお偉いさんになりたい。そのためには、この一流大学に入りたい。一流大学に入るためには、この高校、この中学がいいということで学校を選んでいます。何を学ぶかではなく、どの学校に入ったほうが有利か。こんな教育ではオリジナリティなど生まれるはずがありません。もっと、自分に投資するというコンセプトで学ぶ人が増えないと。

波頭 米国は、ある意味で日本以上に学歴社会だけれど、学歴がなくても突出している人間は実力で評価するという土壌があります。あの学歴偏重のゴールドマン・サックスでさえ、ハーバードでMBAを取っていなくても実績でエースになれる。

伊藤 米国では学歴はフィルターなんですよ。大量の人材をふるい分けるためのツール。学歴そのものが価値だとは思っていない。

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