クレディア破綻 忍び寄る危機連鎖の恐怖

クレディア破綻 忍び寄る危機連鎖の恐怖

過払い利息の返還に追われる消費者金融。逆風吹き荒れる中、上場企業で経営破綻が起きた。銀行の融資引き締めも予想され、クレディアの後を追う事業者も出かねない。(『週刊東洋経済』9月29日号より)

 消費者金融や信販、クレジット会社が膨大な過払い利息返還に追われる中、ついに上場企業の経営破綻が起きた。

 14日、消費者金融業で中堅のクレディア(東証1部)が東京地裁へ民事再生法の適用を申請。同社の石尾頼央社長は、自主再建を断念した理由として「貸付金の総量規制導入や上限金利の引き下げ、さらに過払い利息返還の三重苦」を挙げた。

 経営環境の激変に対し、同社は人員削減などのリストラをいち早く実施。今年4月以降は新規貸し付けをストップし、事業ローン保証へと軸足を移していた。だが“三重苦”という強烈な逆風をかわし切れず、資金繰りの悪化に直面、万策尽きた。上場する消費者金融会社の経営破綻は初のケースで、業界への余波も避けられそうにない。

第2のクレディア出現も

 東京地裁が申請を受理したことで、同社は再建に向けたスポンサー探しを始める。だが、筆頭株主で約21%を保有するJCBは支援に乗り出さない方針。業界内では早くも「難航必至」(大手貸金業)との見方が強まっている。条件次第とはいえ、過払い利息返還請求の増加という経営リスクが払拭できないかぎり、再建に名乗りを上げる企業は限られそうだ。スポンサーが見つからなければ、残る選択肢は破産しかない。

 7、8月、過払い利息返還請求による業者の利息返還額は高止まりを続けた。大手の消費者金融会社では月間の返還額が60億~70億円にもなる。業者からの借入残高が「ゼロ」となった完済者からの返還請求が増え続けていることも懸念材料だ。最近は、その割合が大手クラスで「全体の30%程度を占める」といわれる。完済者層は厚く、当分は利息返還の請求がピークアウトしないことを示唆する。

 一方、今回の破綻で同社へ融資していた銀行には取り立て不能の事態が発生する。8月31日現在、同社単体での金融機関借入額は約510億円。今年3月末時点の構成比で、全借入額のうち6割が地方銀行からの借り入れ。当然、地銀を中心に貸倒引当金を積み増す動きが広がる。

 金融機関は中堅・中小貸金業者への融資引き揚げにも走りかねない。少なくとも、債務者区分引き下げによる融資条件の厳格化は必至だ。結果として、クレディアの後を追う事業者が出てきてもおかしくはない。

 消費者金融をはじめとする貸金業者が直面するリスクは、それにとどまらない。

 クレディアではABS(資産担保証券)による債権流動化も積極的に行っていた。残高は今年3月末時点で263億円に達している。18日にムーディーズは、債権回収体制や今後の債務者の支払い行動に変化があれば「(流動化した債権を集めた)証券化プールのパフォーマンスにも変化が生じる可能性がある」として、一部のABSを格下げ方向で見直すと発表した。

 クレディアは19日に第1回債権者集会を実施。利息返還請求権を一般債権扱いとする方向で調整する見込み。同請求額も一定率でカットされる可能性がある。ただし一定の届出期間内に届出がなかった場合、権利消滅するというルールに関しては、過払い関連は例外扱いとなりそうだ。

 同日の債権者集会ではABSの取り扱いまで言及されなかった。が、最終投資家に損失が発生することになれば、ABS市場全体が動揺し、信用収縮が起きかねない。最近は消費者金融だけでなく、事業金融の分野でも銀行の与信審査は厳格化の方向にある。信用収縮が強まれば銀行側は貸したくても貸せない。負の連鎖は貸金業者をさらに厳しい局面に立たせる。「クレディアショック」は業界の悩みをさらに深めた。

(書き手:浪川 攻)

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