「飲み会嫌い」の新入社員はこれだけ損をする 「5月病」になる人と平気な人の決定的な違い

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あのグーグルでも、くじ引きで決まった違う部署の知らない社員とランチをする「ミステリーランチ」と呼ばれるイベントが不定期で行われるそうです。さらに、毎週金曜日の午後、グーグル本社でお酒や食べ物が用意された全社的なミーティングが開催され、経営幹部と社員の貴重なコミュニケーションの場になっているとのこと。

つまり、共に飲食することは立派なコミュニケーション手段なのです。業務のときには見せない顔や、人となりがわかると親近感も湧きます。

「毎日席を並べて仕事していれば、関係性は深まる」という反論もあるでしょう。ただし、仕事中で深められる関係性には限界があります。職場では、どうしても業務の話が中心になり、天気の話など当たり障りのないものがせいぜいで、気持ちの距離はすぐには近づきません。すると、業務に支障が出てしまうこともあります。

新入社員の仕事は「気軽に聞ける」人なしに進まない

この時期、特によく受ける相談があります。業務で誰かに教えてもらわないとわからない問題に直面したとき、周囲に声をかけるタイミングを逸し、結局1日問題が解決できないまま過ごしてしまったというのです。必要なときに声をかけられないなんて、仕事への悪影響もいいところです。

特に、新入社員はわからないことだらけ。先輩や上司に教えてもらわないことには、仕事になりません。入社してたった1カ月ですから、なにもかも理解しようとするほうが間違いです。

ただ、小さなことでも相談できるのは、日頃の交流があるからこそともいえます。日常会話もスムーズにできない相手に、いきなり相談なんてできないのです。すなわち、仕事を潤滑に行っていくためには、仕事以外の適度な接触が必要なのです。もちろん、度を越してのお誘いに応じる必要はないかと思いますが、特別な事情がないかぎりは参加する姿勢があってしかるべきです。

さらに言えば、多くの人が参加してにぎやかな1次会よりも、2次会のほうがじっくり話をすることができるといえます。

すでに先輩や上司とそ反りが合わないと感じている方は、なかなか気が進まないかもしれません。しかし、日の浅い関係で、相手と合うかどうかなどわかるわけがありません。よく、ある程度親しくなった相手に対して「そんな人だと思わなかった」などと発言をする方がいますが、そもそも、その部分を見ていなかっただけで、初めから「そんな人」だったのです。どんな人もさまざまな面を持っています。思い込みや特定の部分だけを拡大解釈せずに、多角的に見ていく必要があり、早々に見切ってしまうことがないようにしたいですね。

「そうはいっても、お酒が飲めないので……」という方も少なくないかと思います。ただ、たとえ居酒屋に行ったとしても、アルコールを飲まなくてもよいのです。上司は、お酒を飲ませたいのではなく親交を深めたいだけです。無理する必要はありませんので、そこはきちんと飲めない旨を伝えましょう。また、タバコの煙が嫌で行きたくないという方も多くいます。禁煙の飲食店も増えてきていますが、お店の選定をする幹事さんも、配慮する必要があるかもしれませんね。

仕事は、連携が何よりも大切。些細(ささい)なことでも気軽に話ができる、心地よい自分の「居場所」をつくって、5月病とは無縁の5月を過ごしてください。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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