「地雷ファンド」を避けるにはどうするのか イデコを使って着実におカネを増やす方法

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では、どうやってマーケットに釣り糸を垂らせばいいのか。今回は、個人が釣り糸を垂らす場所として好適な「イデコ」(正式な表記は「iDeCo」)こと個人型確定拠出年金について、最もお得な使い方をご説明しよう。

イデコ(iDeCo)の正しい使い方とは?

イデコは、会社員や自営業者など、60歳未満で課税される所得がある方は、税金面で「ほぼ確実に」得になる制度だ。現在利用している年金の立場によって利用できる金額が異なるが、ぜひ、利用したい。昨年、法改正があって対象者が広がったこともあり、一部の金融機関には、さばききれないほどの申し込みが殺到している。

イデコでは、(1)金融機関(「運営管理機関」と呼ぶ)を選び、かつ(2)それぞれの金融機関が用意した運用商品のラインナップの中から運用対象を選ぶ、という2つの選択を「自分で」行わなければならない。

まず、取り扱い金融機関の選び方だが、「口座管理手数料」と運用商品の「運用管理手数料」が安い金融機関を選ぶことがポイントだ。口座管理手数料として、どこを選んでも毎月167円、つまり年額約2000円(国民年金基金連合会と記録を保持する会社に払う)と金融機関が設定した口座管理手数料(月額ゼロ円から数百円)が必要だ。そして、口座管理手数料に加えて、運用商品の運用管理手数料(または「信託報酬」)が、加入者が自分のおカネを運用するのに必要なコストだ。

運用管理手数料は商品によって異なり、運用残高に比例してかかる。厳密には、将来の運用残高を考えて計算するといいのだろうが、簡便法としては、運用額を100万円として、年額を計算するといい。たとえば、0.24%とあれば、年間2400円。1.62%とあれば1万6200円だ。これを、口座管理手数料と合算して、安いところが優れた運営管理機関だ。うまく探すと、年額5000円未満の運営管理機関が見つかるはずだ。

運営管理機関を探すうえでも、運用商品の選択が問題になるが、これは「外国株式(先進国株式)のインデックスファンド(株価指数に連動する投資信託)」と決めて比較することをお勧めする。理由は、多くの人の運用全体の一部として外国株式のインデックスファンドが適当であり、その置き場所として、税制上のメリットがある確定拠出年金が最適な場所になるからだ。

運用商品は、通常、数十の選択肢があるが、その大半が、筆者が「地雷」と呼ぶ、(1)確定拠出年金に不適当で、かつ(2)手数料が高い運用商品だ。商品ラインナップに「地雷」が混じる理由は、金融機関の手数料稼ぎだ。加入者が間違えて「地雷」を選んでくれると儲かるという率直な理由からだ。

「地雷」の避け方は簡単で、運用管理手数料が年率0.3%よりも高いものをすべて「地雷」だと思って避けるといい。企業型の確定拠出年金をお持ちの会社に勤めておられるサラリーマンも、同様に地雷を避けるといいだろう。

イデコの最適運用を考えるうえで、100万円の運用額に対して、年間手数料5000円という水準が出てきたが、イデコ以外にもおカネの運用全般に「年率0.5%以上の手数料は決して払わない」「100万円の運用に払える手数料は年間5000円まで!」「手数料がわからないものは、もちろん避ける」と固く心に決めておくと、不適切な運用商品の大半を避けることができることを付記しておく。金融機関の担当者は構ってくれなくなるかもしれないが、それは、あなたが正しい道を歩み始めたということだ。

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