コスト8割減も!ベトナムのオフショアが熱い 戦々恐々とする日本の高給エンジニア

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異国の開発者とのトラブルに懸念は?

オフショア開発の経験がない企業が、海外の開発者に委託すると、さまざまなトラブルが起こりそうだが、実際はどうなのか。それを解説するには、まずはエボラブル アジアの「ラボ型」と呼ばれる開発スタイルを紹介する必要がある。

同社が行っているラボ型は、委託する企業のプロジェクトマネジャーがプロジェクト発足時にベトナムに3〜12カ月程度駐在し、対面で開発者に直接指示をするというもの。この間に、プロダクトの仕様を決定し、専属のベトナム人開発者たちと共有する。それらが完了次第、プロジェクトマネジャーは日本に帰国し、メールや電話、グループウエアなどを活用し、遠隔でプロジェクトを進行していく。

1社専属の開発チームを編成し業務を行う。

一方、従来のオフショア開発は、お互い見ず知らずの関係で、仕様書だけが共有され、遠隔のみのコミュニケーションで行われることがほとんどだった。そのため、コミュニケーションロスにより希望する仕様が十分に反映されず、その結果、プロジェクトそのものが破綻してしまったり、開発者が複数の案件を掛け持ちできるため、委託先の開発会社を思うようにコントロールできなかったりするなどのトラブルが発生していた。

さらに頻発していたのが、企業と開発者のミスマッチングの問題だ。国籍が異なれば、プロダクトの質や働き方に対する価値観も異なる。たとえば、ベトナム人は「ほうれんそう」(報告・連絡・相談)が日本人と比べて弱いとされるが、それをお互いに英語(ベトナムの公用語は英語ではなくベトナム語)で指摘しようとしてもしきれないため、円滑にプロジェクトを進行できない。

そうしたトラブルを未然に防ぐため、同社はプロジェクト発足時の業務を、プロジェクトマネジャーの駐在による対面という形式で行っており、また、開発者の教育を目的として入社時や、定期的に行う社内研修などを今後、予定しているという。

「社内では、“クオリティー”と“セキュリティー”という言葉をよく使っています。プロダクトの質と、働く環境の秩序。日系企業が当たり前にやっていることを、ベトナム人にも伝えれば、彼らもできるのです」(大山氏)。

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