「レクサスLC」1000万円超クーペの明確な個性 ベンツやBMWなどの欧州勢とは明らかに違う

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ただし音だけは、この洗練された走りの中では豪快すぎると感じた。欧州車が育んできた西洋的価値観の線上にあるという気もした。自動車趣味の世界もまた西洋基準なので、LCを欲する層はこういうサウンドを好むかもしれないけれど、筆者はデザインとの整合性がいま一つだと感じた。

5リッターV8エンジンは4ドアセダンの「GS F」や同じくクーペの「RC F」と基本的に共通であり、477馬力の最高出力も同一だ。であればLCにも「F」という名称を与えて特別扱いしたほうがいいのではないかとも思えた。

「LC500h」の3.5リッターV6エンジンと2基のモーター

逆にいえば、それだけLC500hが好印象だった。新たに4速ATを組み込むことで、電子制御の回転制御と合わせて10段変速を実現した新開発の「マルチステージハイブリッド」は、従来のレクサス/トヨタのハイブリッドで不可避だった、速度と回転数の上昇が一致しない違和感はほぼ払拭され、心地よい高揚感を提供してくれた。

街中では電動走行を積極的に使ったモダンな走行感が味わえる一方で、高速道路や山道ではハイブリッド車でありながら積極的に走ろうという気にさせる。静かできめ細かい音を含めて、こちらのパワーユニットのほうが設計思想に合っていると思った。

ラグジュアリークーペらしい落ち着きも

全長4770mm、全幅1920mm、全高1345mmと、かなり幅が広く背が低いボディサイズにしては、車両感覚はつかみやすい。低速では21インチという超扁平ラン・フラット・タイヤのコツコツというショックが伝わるものの、速度を上げると気にならなくなり、硬めだが揺れの少ない乗り心地になる。すばらしいシートのおかげもあって、200㎞を快適なまま過ごせた。

筆者はLCのような大きく重いクルマがキビキビ動く必要はないと思っている。それよりもサイズやボリュームに見合った素直な動きをしてほしい。この点でもLCは合格だった。狭い山道でも2トン前後という車重を持て余すことはなく、でもラグジュアリークーペらしい落ち着きも感じさせつつ走り抜けていけた。

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