日本には「根拠なき自信家」が足りない 経済財政白書も一喝?

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牙を抜かれたように従順な社員ばかり増えてしまった気がします。取材した食品メーカーの人事部部長は、

「10年前まで、意欲的な社員はいた。ところが、業績が悪い時期が長すぎた。その間に出すぎるくいとしてバッシングされて、いなくなった」

と分析。不況期の長さは10年以上に及びましたから、アニマルスピリットを持った社員は、イリオモテヤマネコのような絶滅危惧種になってしまったのです。失った意欲(強気)を取り戻すのは簡単ではありません。特に強気を容認した時代を知らない若手社員たちとっては

《アニマルスピリットを取り戻せも何も、求められたことがないから困る》

といった意識なのが実態です。それを裏付けるように、2013年度新入社員意識調査(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)によると、社会人としての自分に自信のあるものとして挙げた項目の上位が「協調性」「忍耐力」。逆に欠けているものとして挙がったのは

「創造力」「積極性」

ここで不思議なのが、今年度の新入社員の特徴として挙げられるのが出世意欲の高さ。なんと、「出世したい」と回答した比率は過去10年で最高だったのです。とすると、

《人間関係を大事にして、言われたことをやって、出世したい》

のが今年の新人の特徴と言えます。

しかし、考えてみてください。受け身の姿勢で、忍耐と協調だけで出世するなんてありえません。世界で企業間の競争はますます激しくなり、国内でもサバイバルレースが続くのは明らか。より激しく戦わざるをえない状況なのですから、社員も同じ“攻めの姿勢”が強く求められます。取材した企業では、

「失敗を恐れず、新たに挑戦しようとする姿勢を示してほしい」

と、強気で攻める人材を本気で求める声を何度も聞きました。

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