「説明が下手な人」にありがちな残念な伝え方 「あれもこれも……」と欲張ってはダメだ

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すべて伝えようとするから伝わらないのです(写真:tkc-taka / PIXTA)
新製品の提案、会議のまとめ、部下の指導……ビジネスの現場は、毎日のように誰かに何かを「説明」する場面であふれています。
そんなとき、思うように言いたいことが伝わらず、「で、結局どういうこと?」と聞き返されたり、仕事が滞ったりしてしまう――そんな苦い経験をしたことはありませんか? 『「いまの説明、わかりやすいね!」と言われるコツ』の著者であり、“思考整理のプロ”としてこれまで5000人以上の人たちの“説明下手”を改善に導いてきた浅田すぐる氏は、特に注意すべきポイントとして2つの対照的なキーワードを挙げます。

「説明」は、どこまですればOKなのか?

「なぜ、うまく説明できないのか?」

その理由はもちろん挙げていけばきりがありません。ただ、そのなかでも特に重要なポイントとして「網羅性」と「代表性」があります。

突然ですが、1つ質問をさせてください。

「『クルマの機能』といえば、何を思いつきますか?」

ご自分なりの答えを考えてから、読み進めてくださいね。

……私自身もそうですが、「自動車業界」の出身者は、この質問に対してほぼ金太郎アメのように「走る、曲がる、止まる」の3つだ、と答えます。

たしかに「走る」ための動力装置(エンジン)と、その動力を「曲がる」という観点で制御する操舵装置(ハンドル)、「止まる」という観点で制御する制動装置(ブレーキ)があれば、クルマというモノは成立するといえます。

ただ、本当にこの3つだけかというと、たとえば「運ぶ」という機能も選択肢としては考えられるでしょう。あるいは、電気を「溜める」機能も注目されていますし、これからは「つながる」という、IoT的観点をふまえてクルマを再定義する動きもあります。

要するに、クルマの機能について本来はほかにもいろいろとあるわけです。「走る、曲がる、止まる」は、クルマの機能を「すべてカバー」しているわけではありません。

ただ、「網羅しているわけではないが、代表的な3つとしてはこれで十分だろう」と誰もが了解しやすいものが、先ほどの「走る、曲がる、止まる」なのです。実際、この話は「自動車の3つの基本性能」といわれ、業界では常識とされています。

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