トランプ大統領が操る「狂気の戦略」の正体

「何をしでかすか分からない」キャラの効果

トランプ大統領は、自身の「予測不可能」なイメージを上手く利用している可能性がある(写真:jannoon028 / PIXTA)

「常軌を逸していて、予測不可能」と中国側からも恐れられていたトランプ大統領(米紙『ニューヨーク・タイムズ』)。しかし、その大統領がいま「狂気の戦略がかえって、世界に安定をもたらしたかもしれない」(米ウェブ誌『スレート』)とも評価されている。

一体、何が起きたのだろうか。

ニクソンが作った「狂気の戦略」

本記事は会員制国際情報サイト「Foresight(フォーサイト)」(新潮社)からの転載記事です。

狂気の戦略とは英語でmadman theoryだが、ここでは意訳して「戦略」とした。ちなみにマティス米国防長官はmad dogと呼ばれ、日本メディアは「狂犬」と訳したが、正しくない。狂犬はrabid dogが正しい。

この戦略、トランプ大統領自身が尊敬していた故ニクソン大統領が元祖の発案者だ。トランプ氏はニクソン氏からもらった1987年当時の手紙を額に入れて大統領執務室に飾るほどのニクソン・ファン。手紙は、本文わずか5行で、「妻はあなたが選挙出馬を決めたら勝つと予想している」という他愛ない内容だった。

長文の文書を読むのが嫌いな現大統領。国家情報長官(DNI)事務所が毎日行う「大統領日報」ブリーフィングは1テーマ1ページ以内を原則に、大統領が好む写真や図表などビジュアル資料を増やす方向といわれる。

狂気の戦略という言葉自体、ニクソン氏の造語だった。

彼が1968年の大統領選挙中、信頼する部下で、大統領就任後に首席補佐官に任命したH.R.ハルデマン氏に次のように伝えたことを記した文書が残されている。筆者の友人で米民間調査機関「国家安全保障文書館」上級アナリスト、ウィリアム・バー氏が発見した。

次ページ「何をするか分からない」印象は意図的なものか
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
途上国の石炭火力支援を<br>日本はやめるべき

アル・ゴア元米国副大統領は地球温暖化対策の重要性を訴え続けている。米国は温暖化対策の枠組み「パリ協定」からの脱退を表明。対策は後退してしまうか。日本がすべきことは何か。