ザッケローニ監督に学ぶ、サバイバル決断術 【新連載・第1回】決断力は、スポーツのように鍛えよう

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ビジネスでも全く同様だ。この部門で失敗したら別の部門に移りますというような逃げ腰姿勢のリーダーや、ある仕事が失敗した場合に最終責任を他人のせいにするようなリーダーには、絶対人はついてこない。もし部下が一人でもいるなら、あなたは「W杯に連れて行く!」というような組織の目標・ゴールを明確に決めて発信した上で、自らの逃げ道を断ち、自分が最終責任を負うと宣言できているだろうか?

決断の基本は、文字通り「決めて」「断つ」ということだ。都合の良い言い訳ばかりで、安易な逃げ道ばかり用意するビジネスパーソンでは、信頼は得られない。

2)個人と向き合い、役割分担を決める

「監督とは、一人一人の選手に合う洋服を考えて着させるのが仕事だ」

どれだけ本田や香川の技術が高くとも、選手が全て本田ではチームは機能しない(フリーキックのキッカー選定が大変だ)。11人、いやサブも含めたチーム全員がそれぞれの役割を認識し、価値を発揮しなければ試合は勝てない。

ビジネス上でも全く同様だ。部下やチームメンバーには個性・適性、強み弱みがある。営業でも新規開拓が得意な人材もいれば、既存顧客のフォローが得意な人材もいる。組織内でもリーダー型もいれば分析型もいれば、サポート型もいる。あなたは部下やメンバーとしっかり向き合いながら適性を見極め、それぞれの個性と能力を踏まえて役割を決められているだろうか。そして、期待や感謝を伝えられているだろうか。

他人の役割を決めるというのも、リーダーの立派な決断なのだ。

3)問題発生時こそ、出番。解決策を決断する

「サッカーも人生と同じ。不測の事態は起きるもの」

代表選手がケガで離脱した際の言葉だが、試合の中で当初の想定通りチームが機能しないこともよくある。その場合、原因を考え、選手交代や戦術変更などのうち手を打つわけだが、これもビジネスと同様だ。問題が起きた時こそ、それに向き合い、解決策を決断し、実行を主導できることが不可欠だ。

クライアントからのクレーム、社内の問題…放置し、先送りしてもさらに大きなクレームや問題につながるだけだ。何とかするには、問題発生の原因を踏まえて、限られたリソースの中からなるべく早く解決策を見つけ決断、実行していくしか方法はない。

選手交代の決断が遅れ、失点して試合終盤、ではもう逆転は望めない。優れたリーダーには、問題と向き合い、解決策を即時決断・実行できる「決断筋の瞬発力」も試されているのである。決断筋の詳細なトレーニング法は次回以降のコラムに譲るが、優れたリーダーであるための、「決断筋」の重要性を感じていただけただろうか。

次ページ一方、プレーヤーの側から考えると、何が見えてくるか
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