相鉄のJR直通化で「時刻表」が大ピンチ? 時刻表編集部にマニアックな質問をぶつけた

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この先に書かれていることは、鉄道ファンの中でも時刻表好きの人にしか共感を得られないかもしれない。プロ野球にたとえるとカープの帽子とユニホームを着ている女性の集まりを見て、「カープ女子だ!」と思って近づいてみたら、女性たちが「広島のロードンって『銀行員』って呼ばれていたよね」という話で盛り上がっていて話についていけない、みたいなもの。なので最後まで記事を読んでも「時間の無駄だった!」と怒らず、「変な鉄道ファンもいるものだな」と寛大な気持ちで受け止めていただきたい。

最初にぶつけたのは、ページの並びについて。

JTB時刻表は、新幹線のページの後、特急の時刻表があり、その後、東海道本線、山陽本線、湘南新宿ライン、横須賀・総武線快速……と続き、最後は北海道の各線、山手線などの東京近郊区間の路線、大阪近郊区間の路線の並びになっている。

新幹線の後にある、特急の時刻表は北海道から九州まで、北から順に並べられているが、在来線の時刻表には、これといった法則性がない。昔からこのような感じだ。なぜ、こんな並びになっているのだろうか?

大内編集長(以下、大内):「国鉄時代から使われている、線路名称順というのをベースに並べています。時刻表は、個人のお客様も利用されますが、旅行会社のスタッフのようなプロの方も多く利用されるものですから、並びをコロコロ変えるわけにはいきません」

同じ観光列車でも掲載位置が違う

JTB時刻表の大内学編集長(撮影:尾形文繁)

旅行会社の人が時刻表を不慣れな感じでめくっていると、「プロなのに大丈夫か?」不安を感じてしまうもの。並びが変わらないのは、ちゃんとした理由があったわけだ。

続いては臨時列車について。4月にデビューした、JR四国の土讃線を走る観光特急「四国まんなか千年ものがたり」は、巻頭の特集ページに列車の時刻が載っているが、同じJR四国の瀬戸大橋線を走る観光列車「ラ・マルせとうち」は、瀬戸大橋線のページに載っている。同じ観光列車なのに、なぜ掲載ページが異なるのだろうか?

大内:「『四国まんなか千年ものがたり』は、食事券の購入の案内や、多度津や善通寺から乗車した場合、途中駅で下車できない旨の案内を載せなければなりません。本当なら土讃線のページに時刻を載せたいのですが、注意書きを入れるとページ数が増えてしまいます。時刻表はこれ以上、本の重量を重くすることができないので、やむなく、特集ページに掲載しました」

旅行会社や企業など、年間購読するユーザーが多いJTB時刻表は、昭和3年11月7日に第三種郵便物の認可を受けた。これにより、年間購読者に、普通の郵便物よりも安い価格で届けることが可能となった。だが、第三種郵便物として認められるのは、総重量1キログラムの刊行物まで。現在、990グラムほどある時刻表は、これ以上ページを増やせないのだ。

だとしたら、紙の質を軽くて丈夫なものに変えれば解決するのではないだろうか?

次ページ過去30年で時刻表のページは増えた?
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