(このひとに5つの質問)木村彌一 コスモ石油社長

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アラブ首長国連邦のアブダビ首長国が100%出資する投資会社IPICと資本・業務提携を発表。第三者増資でIPICは20%を保有する筆頭株主へ。大型増資の狙いを語った。(『週刊東洋経済』9月29日号より)

政府との関係が深まり 供給体制が強化される

1 出資はどちらから持ちかけた話で、20%という比率はどのように決まったのですか。

 アラブ首長国連邦(UAE)・アブダビ首長国とは1968年に(子会社の)アブダビ石油を設立し、現地操業を始めて以来、40年間にわたって原油取引や開発を通じ関係を築き上げてきた。出資を受けるアイデアはずっとあったが、具体的な話に進展したのは今年の4月ごろ。安倍内閣の中東ミッション派遣も後押しになった。

 出資比率についても常日頃から話し合いの中で出てきたもので、どちらからということはない。20%という数字ありきではなしに、できるだけ関係を深めていきたい。

2 長期的な原油の安定供給体制が強化できるとしているが、何か優先権が得られるのか。

 現在、UAEから日本への原油輸入は25%程度。ただし、提携相手のIPICはアブダビ首長国外でエネルギーへの投資を行っている会社であり、今回の合意に原油取引に関する取り決めは含まれていない。アブダビ国内の原油取り扱いなどはアブダビ国営石油会社が担当しており、直接的な関係はない。

 しかし、IPICは政府が100%出資する国営会社で、政府と事実上一体ととらえている。提携を通じて政府との関係がさらに深まったという認識だ。原油の精製コスト削減などにつながるとは考えにくいが、資源不足の中で原油の安定的な確保ができる。むろん、先方にとっても安定的な販売が可能になるということだ。

3 今回の第三者割当増資で調達する892億円の使途について、具体的な内訳は決まっていますか。

 これからIPICと相談して決めたい。国内製油所のメンテナンスなどは通常予算で賄っていく。増資資金は製油所の高度化、高付加価値化投資に充てることを考えている。大阪の堺製油所で2010年度に運転開始予定の重質油分解装置を活用した石油化学事業拡大など、使途は広範囲に検討したい。アブダビ首長国以外での石油開発事業の強化や石油製品輸出の拡大も、IPICとの協議のテーマになるだろう。

4 目下力を入れている製品輸出について、どの程度の伸びを見込んでいますか。

 今期中の輸出量は200万キロリットルが目標。米国西海岸では軽油の卸売り販売も始めている。10年には全体で400万キロリットルまで引き上げたい。

5 原油調達で提携している新日本石油との関係は継続するのか。他社との関係に影響は。

 IPICと新日本石油のいずれかを選択するという話ではない。国内企業とのアライアンスもメリットがあるものはやっていく。

(書き手:山田雄大、松崎泰弘 撮影:尾形文繁)

きむら・やいち
1940年5月生まれ。63年、早稲田大学法学部卒業、大協石油入社(86年、3社合併でコスモ石油発足)。企画部長、財務部長などを経て04年6月に社長就任。

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