盛り上がる「地方創生転職」ブームにご用心 生活環境はよくても、仕事満足度が今一歩?

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大都市で就職したあと、U・Iターンを考えるようになるのは30代後半~40代が中心。20代の希望者は数としては多くは見掛けません。大都会の仕事をある程度経験した後、生活レベルや仕事を行うペースなど環境の変化を求めて、慎重に時間をかけて決断する傾向があるようです。

取材したDさんは都心部の情報通信系企業でスーパーバイザーとして店舗の販売応援や販売員育成を経験。そろそろ都会の生活に疲れてきたので、地方でマイペースな生活を願うものの、

「だからといって山奥で自然と一緒に過ごしたいわけではありません。これまでの経験は生かした仕事が見つかれば地方に移住するという前提で転職活動をしました」

地元の同業の求人を丹念に探し、最後には募集していない会社に電話をかけて自分を売り込み、応募機会を得て、内定をもらうことができました。振り返れば、約2年をかけての転職活動。それくらい都心部の転職よりは時間と手間がかかるのでしょう。

押さえておきたい転職地域を選ぶ基準

そして、押さえておきたいのが転職地域を選ぶ基準。選ぶ際、「自然環境」よりも「就労の場」があるかどうかを優先する人が増えてきたように感じます。田舎暮らしだけではなく、「地方暮らし」まで含めてU・Iターンと考える時代になったのかもしれません。

当方がこのU・Iターンに初めてかかわった20年前は、田舎暮らしを勧めるため、就農、地元の旅館の女将になる……などがU・Iターン転職の代表のように言われたものでした。でも、状況が変わり、静かな山間で過ごす。過疎化した村で暮らすことを目的とした転職はマイナーな選択となってしまったようです。

参考に人気のある地域は1位が山梨県で以下、⻑野、静岡、広島、福岡県と続きます。この地域名を聞いたときに、地方というよりは都市圏じゃないか、と感じるのは筆者だけではないはず。この前提を踏まえてU・Iターンの転職を考える必要があります。

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