ミスターミニット「ダメ会社」が再生した理由

「主演・脚本・監督、俺」の29歳社長の変化とは?

:そこから抜け出したいちばん初めのきっかけは、マザーハウスで台湾事業を手掛けたときなんです。私は中国語ができないので、現地の仲間に頼るしかなくて。周りに任せるようになって初めて心から信頼してもらえて、仕事もうまくいくようになって、「ああ、全部自分でやっちゃダメなんだな」と気づきました。

「プロデューサー型リーダー」が求められている

司会:世の中でもてはやされるリーダーは、すべて自分でやっているように見えることも原因かもしれませんね。

遠藤:リーダーはいくつかのタイプに分類できます。まず、「カリスマ型リーダー」。創業者に多い、なんでも自分でやってきた魅力的な人間です。もうひとつが、大企業に多い「調整型リーダー」。突出しているわけではないけれど、バランスを取ってみんなをうまくまとめていくタイプですね。そして3つめが、「プロデューサー型リーダー」です。

かつては減点方式の評価法だったが「今のミスターミニットには、罰則が一切ない」(迫氏)(写真:筒井智子)

:プロデューサー型?

遠藤:そう。要は、主役の役者さんじゃないんですね。主役はあくまで現場。その現場の人たちが気持ちよく演じられるように舞台や大道具を用意して、スポットライトを当てて、支えるんです。いまの迫さんはまさにプロデューサー型ですが、以前は自分が演じようとしていたわけですよね。

:ああ……まさにそうです。「主演・脚本・監督、俺」でした(笑)。

遠藤:そうでしょう。それでいま、日本企業ではプロデューサー型のリーダーが最も求められています。そういう人さえいれば現場力を引き出せる、つまり成長できる会社はたくさんあると感じますね。

司会:「舞台を用意する」というお話がありましたが、インセンティブなどの評価制度も1つの舞台装置でしょうか。

:そうですね。ただ、インセンティブ設計って細かいので、変えても社員に伝わりにくいんですよ。それより抜擢人事はじめ、経営陣にはっきりモノを言うために冷や飯を食っていた人たちを活躍させる、若い人たちが新しいことをやり始める、といった「わかりやすい象徴」を積み重ねることをまずは意識しました。それが、「思ったことを正直に言って、お客様のことを考えた行動をすれば評価される」というメッセージになる。そのメッセージさえ伝われば、評価制度や細かいインセンティブ設計を変えたときにうまく機能するようになりますから。

遠藤:うん、そのとおりですね。制度そのものよりも、実際に運用できるかどうかが鍵です。

あとは「舞台装置」として、いい行動をしたときにすぐに評価できる仕組みづくりも行いましたね。評価権限をできるだけ現場に近づけ、高頻度で評価できる仕組みを組み合わせて。

司会:なぜ高頻度の評価が必要なのでしょうか?

:褒める回数を増やすためです。今のミスターミニットの制度には、基本的に罰則が一切ないんですよ。減点方式は、失敗を責めるということ。それでは、挑戦しづらくなるでしょう? いまは「褒める回数を2倍以上にしよう」と合言葉のように言っています。

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