新入社員は「最初の配属先」で一喜一憂するな 会社は配属先をどのように決めているのか?

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まず、「誰が新入社員の配属先を決めるか」だが、それにかかわるメンバーは、企業によって異なる。人事部員だけで話し合って決める会社もあれば、受け入れ部署の上長と人事が相談して決めることもある。経営者の意向が強く反映される会社だと、経営者があれこれ口を出すケースもある。さらにワンマンな経営者だと、鶴の一声で決まるということもある。しかし、多くの場合、合議のうえで決めていくという。

「単線型」と「複線型」、2つのキャリアパス

その場合、配属先を決める拠り所となるのが、キャリアパスだ。これは、「新入社員を効率的に育てるためには、どんなキャリアを踏んでもらうのが良いか」という観点をもとにつくられたキャリアのルートのこと。

そのルートは、大きくわけて2つある。1つが、全員がほぼ同じルートをたどることで、最終的に会社全体を見渡せるゼネラリストにしていく「単線型」。そしてもう1つが、マネジメント層を育てるだけではなく、仕事のスペシャリストになるための道も用意する、「複線型」だ。単線型のほうが、さまざまな部署をローテーションすることが多い。メーカーならば、その会社が作っている製品のすべての事業部を経験させるといった具合だ。

ある小売系企業では、新入社員をまず店舗に配属し、それから人事や経理といった管理部門で経験を積ませるようにしているという。人事部で人材採用・育成の方法、経理で資金の流れを学ぶことが、店舗運営にはプラスになると考えているからだ。

キャリアパスは、必ず同じ順番をたどるわけではない。順番が前後する場合もある。たとえば、すべての製品の事業部を経験させたいと考えている会社の場合、主力事業部の前に、売り上げの小さな事業部に配属されることも珍しくない。また、受け入れ側の都合上、新入社員を何人も同じ部署に配属させるのが難しいという事情もある。

さらに、東京に本社があっても、地方での勤務を意図的にさせる企業もある。「地域によってやり方が違ってくるような仕事は、さまざまな地域で経験を積んだほうが成長しますから、意図的に配属するわけです。また、新卒社員ぐらいの年齢だと、配偶者も子供もいない人が大半なので、地方に行かせやすいというのもあります」(磯マネージャー)。

ただし、このようなキャリアパスを社員に公表している企業は、決して多いとはいえない。だから、冒頭で述べたような「こんな部署に配属されたのは、期待されていないからだ」といった、変な誤解を生むわけだ。

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