脳の老化予防には、歩くより踊るほうがいい ステップを覚えるプロセスが効果的

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脳の老化予防には、歩いたり、ストレッチをしたりするよりダンスがいい?(写真:Michael Nagle/The New York Times)

メヌエットやファンダンゴのダンスを習うことで、脳の老化を防ぐことができるのだろうか?

カントリーダンスとウォーキングやその他の運動の神経学的影響を比較した最新の研究によると、ソーシャルダンスを学ぶことには特別な効果があるようだ。ダンスをする際の心身への要求が、加齢に伴う脳の変化の一部を遅らせる可能性があるという。

加齢に伴う白質の衰えは避けられないのか

神経科学者だけでなく中年期以降の人々は、歳を取るにつれて脳が変化し、働くスピードが遅くなることを知っている。脳がどれほどの速さで新しい情報を吸収し、評価し、それに反応するかを表す処理速度は特に変化が著しいとみられる。

40歳程度より高齢の人の大半は、若年層よりも処理速度の測定値が低く、年齢を重ねるにつれてその影響は加速する。

処理速度の低下は、主に脳の白質と呼ばれる部分の衰えが関係していると科学者らは考えている。白質は、神経細胞間と脳の異なる部位間の情報伝達を可能にする結合組織だ。若い人の脳は、驚異的なスピードで情報が神経から神経へと移動するが、高齢者の場合は白質の量が少なくなり、機能が低下していることが脳のスキャンからわかっている。

加齢に伴う白質の衰えは避けられないのか、もしくはその傾向に変化を及ぼすことができるのかどうかは明らかになっていない。

このほど神経科学に関する学術誌『Frontiers in Aging Neuroscience』に発表された研究で、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校などの研究者らは、さまざまなタイプの運動が高齢者の白質と脳の機能にどのような影響をもたらすのかを調査した。

研究チームはまず、認知障害の兆候が見られない60代と70代の健康な男女174人を集めた。一部の人はたまに運動をするが、ほとんどは運動をしない人たちだ。

そして、彼らを大学のラボに招き、有酸素活動や脳の処理速度、脳スキャンなどを調べた。

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