ロシア大慌て「金正恩よりもトランプが怖い」 一歩間違えば世界で核戦争が勃発しかねない

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とはいえ、キセリョフ氏がトランプ大統領についてそのように強硬な発言を述べる自由な裁量が与えられているという事実は、ロシアとの関係を改善するとの約束をトランプ氏が反故(ほご)にしたと考えるロシアの怒りの深さを反映しているとも言える。

北朝鮮の指導者や軍司令官と、トランプ大統領を並べた写真を前にして、キセリョフ氏は、金委員長がトランプ大統領よりも恐ろしくない理由として、金氏には対話の用意があり、他国を攻撃したことはなく、海軍の強力な艦隊を米沿岸に派遣したことがないことを挙げた。

他の国営メディアや政権支持派のメディアもこの数週間、当初示していたトランプ大統領への熱狂的支持から後ずさりしているが、キセリョフ氏は他の意見を方向づける傾向にあり、これまでのところトランプ大統領に対して最も断固たる態度を示している。

トランプ大統領に冷めるロシア人

トランプ大統領を巡る国営テレビの姿勢転換が、テレビからニュースを知る国民の大半に浸透していることを各世論調査は示している。

国営調査機関VTsIOMが17日公表した調査によると、トランプ大統領を否定的に見るロシア人の割合は1カ月で7%から39%に急増。同大統領に対する不信感と失望も募っている。

「シリアに対する米国のミサイル攻撃は、多くのロシア人に冷や水を浴びせた」と、同調査機関のワレリー・フョードロフ氏は指摘。

「ドナルド・トランプ氏の攻撃的な行動は、過去20年間、ロシア社会を特徴づけてきたような米国への不信感と反感をよみがえらせた」と同氏は述べた。

他の多くの国と同様、ロシアもトランプ氏が大統領選期間中から掲げる「米国第一主義」を受け入れた。当初期待していたほどうまくいってはいないものの、ロシア当局者たちによると、ウクライナを巡って科されている金融制裁の緩和にぜひとも必要な米国との関係改善を今なおあきらめてはいないという。

とはいえ、そのプロセスは当初考えられていたよりも難しく、時間を要し、結果も限られたものになるとロシア側は認識しているという。

トランプ政権の政策の多くは、オバマ前政権のそれと何ら変わらないか、より強硬だと、当局者らは非公式に語っている。

ラブロフ外相は17日、北朝鮮の「核を巡る無謀な行動」を非難したが、ロシアは事態をエスカレートさせないようトランプ大統領に求める立場を明確にした。

「われわれがシリアで最近目にしたような一方的な行動が(北朝鮮で)起きないことを、そしてトランプ氏が大統領選中に繰り返し打ち出した政策に米国が沿って進むことを切に願っている」と同外相は語った。

(Andrew Osborn記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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