テレビが勘違いしている視聴者ニーズの現実

視聴率至上主義、似た番組ばかりで「誰得?」

他局のドラマをたたくような番組編成は金曜だけではありません。日・月・火曜では、バラエティ特番を連発してドラマ新作をたたく傾向があり、ドラマフリークからの「またか」という声をよく聞きます。

「視聴率トップ維持のために、“バラエティ至上主義”を貫き、そのために他局のドラマをたたく」という方針は、当然ながら間違いとは言えません。ただ、業界のトップが、テレビ最大の魅力だった多様性を放棄し、他局を落とすことに注力しているとしたら、この先、ネットコンテンツなどとの争いで後手に回る気がしてならないのです。「トップだからこそ、業界内の争いではなく、業界外との戦いに目を向ける」という意味でも、幅広い視聴者ニーズに向き合うべきではないでしょうか。

中高年シフトと、抱き合わせ特番のテレ朝

次は、今春にドラスティックな改編に振り切ったテレビ朝日。編成局長が、「独創的なタイムテーブル」と語ったように、想像をはるかに超える変化が見られました。

最大の驚きは、土・日曜21時~、生放送の報道系情報番組「サタデーステーション」「サンデーステーション」がスタートすること。これによって長年の歴史を持つ「土曜ワイド劇場」「日曜洋画劇場」が消滅するなど、「夜は基本的に2時間ドラマや映画は放送しません」と宣言したことになり、往年のファンは悲痛な声をあげていました。「週末の夜くらい、堅い報道ではなく、ドラマや映画をのんびり楽しみたい」という人のニーズはスルーされてしまったのです。

さらに、月~金曜12時30分~50分に、中高年層向けの帯ドラマ枠を新設。第一弾として大御所脚本家・倉本聰さんが手掛ける「やすらぎの郷」が放送されています。これまでテレビ朝日は、夜の時間帯に「相棒」「科捜研の女」などの中高年層が好むドラマを放送してきましたが、昼の時間帯にも新設したことで、局としての考え方が鮮明になりました。

わかりやすく言うと、昼は「徹子の部屋」「やすらぎの郷」「ワイド!スクランブル」、夜は「科捜研の女」「相棒」「報道ステーション」などの中高年層がずっと見ていられる番組表を作ったということ。話を戻すと、「サタデーステーション」「サンデーステーション」も中高年層シフトの一環であり、10~30代の若者のニーズが後回しにされているのは明白。確かに「テレビ視聴者の高齢化」が叫ばれていますが、この先のビジネスを考えると先細りであり、疑問を持たざるをえません。

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