超優良「東芝メディカル」社長が明かした今後 キヤノン傘下で医療機器の世界大手になるか

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横浜で開催された医療画像機器の展示会に出品された、東芝メディカルシステムズの新型CT(コンピュータ断層撮影装置)(記者撮影)

4月14日、横浜で開かれた医療画像機器の展示会でひときわ大きな人だかりのできているブースがあった。キヤノンが昨年末に買収した、東芝メディカルシステムズだ。高精細を売りにした新型CT(コンピュータ断層撮影装置)などがお披露目された。

不適切会計でひん死の状態に陥っている東芝が、財務体質を改善するため、「虎の子」の医療機器子会社だった東芝メディカルの売却を試みた。そこに手を挙げたのがキヤノンだった。

キヤノンの新規事業の柱に

「東芝メディカルは高いんじゃないか?」

キヤノンが3月に開いた株主総会。同社が昨年末に買収を完了した医療機器メーカー、東芝メディカルシステムズの買収額6600億円をめぐり、御手洗富士夫会長は株主からこう問われた。「それは会社を商品として見ているファンドの発想だ」、御手洗会長はそう一蹴する。「私は会社を売るつもりで買うわけではない。10、20年先を考えるとむしろ安かったなと思う」。

医療機器の展示会では東芝メディカルの横に「キヤノングループ」と表記されるようになった(記者撮影)

医療機器はキヤノンが「新規事業の4本柱」と掲げるもののの1つ。「世界人口は爆発的に伸びており、人口に沿った事業は伸びる」(御手洗会長)として自信を見せる。その一方で御手洗会長は「連邦経営」の方針を掲げ、買収した会社のマネジメントは基本的に各社に任せている。あくまで資金面などでのバックアップにとどまる。

では東芝メディカルは今後、どのような戦略を描いているのか。このほど東洋経済の取材に応じた瀧口登志夫社長が、今後の戦略を明かした。

東芝メディカルの売上高のうち8割近くを占めるのが、「画像診断装置」だ。CT(コンピュータ断層撮影装置)、MRI(磁気共鳴画像装置)、超音波診断装置などが挙げられる。特に同社が強みを持つのがCT。世界では第3位、日本ではトップのシェアを持つ。

「ずっと言っていてずっとできていないが、世界大手3社の中に入りたい」。瀧口社長はそう意気込む。画像診断装置の分野では独シーメンス、米ゼネラル・エレクトリック(GE)、蘭フィリップスという欧米の「ビッグ3」が幅を利かせている。東芝メディカルはここに割って入りたいということだ。開示されている最新の業績は2016年3月期の売上高4169億円、営業利益176億円で利益率は4.2%だ。これを数年以内に売上高5000億円、営業利益率10%に引き上げることを目指す。

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