超優良「東芝メディカル」社長が明かした今後

キヤノン傘下で医療機器の世界大手になるか

キヤノンとの協業効果について瀧口社長は「(キヤノンと)お互いに同じことをやっているわけではなく、今回の買収は1と1を足して3にするようなものではない」とする。キヤノンもX線の画像を表示するデジタルラジオグラフィーなどの医療関連事業を展開しているものの、存在感は薄い。それもあって「シナジー効果の弱い買収」と指摘されることもある。

東芝メディカルシステムズの瀧口登志夫社長は4月1日から、キヤノンのメディカル事業本部長を兼務している(撮影:尾形文繁)

だが、「たとえば従来は医療に使われていなかったキヤノンの画像処理技術などを、医療用画像に応用することなどは可能だ」。瀧口社長は今後に期待する。

東芝メディカルは研究開発以外にも、生産面でキヤノンが築き上げてきたものを活用したい考えだ。キヤノンが長年培ってきた高い生産技術を生かすことができれば、原価低減などに効果が期待できそうだ。両社は互いの工場を見学し合うことなどによって、交流を進める。「生産方式の効率を追求したやり方をどう実現するか、計画を作り始めている」(瀧口社長)という。

医師との深い関係が必須

販売やアフターサービスでは、医療事業を100年以上展開してきた東芝メディカルの営業網を基本とする考えだ。販売やサービス面において、キヤノンはこれまで医療機器メーカーへの販売が大きかったが、東芝メディカルは医療機関そのものへの営業を行ってきた。

医療機器の導入には、当然医師などとの関係が深く影響する。医学界で影響力を持つ人物の後押しや、医師が留学中に使用していたメーカーかどうかなどが大きな決定理由になる。その点、東芝メディカルはこれまでの100年以上の歴史の中で築いてきた関係性があり、キヤノンが一朝一夕には真似できないものがある。

ただCTでトップシェアを握る日本は、供給過多の状態が続いている。OECD(経済協力開発機構)の2014年の調査によれば、日本では100万人当たり107.12台のCTが稼働しており、世界トップの数だ。2位のオーストラリア(同56.09台)の2倍近い。日本では更新需要に期待するしかないうえ、他の先進国を見ても医療費抑制の流れが強まっており、機器販売には逆風が吹いている。

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