あなたの企画が「優れてるのに通らない」ワケ 3つのコツで劇的に認められやすくなる!

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べき論でいえば、ビジネスパーソンは、過去にすでにかけた手間暇とは関係なく、未来に向けて最善の施策をその都度考えるべきです。しかし、多くの人は、過去に手間暇をかけた事柄に引きずられるものです。

たとえば、合理的思考が求められる囲碁や将棋の棋士も、いったん時間をかけて検討した読み筋が成立しない(うまくいかない)とわかってきた場合でも、そこまでに費やした時間をもったいなく感じ、その読み筋に固執して他の手筋を読むのを止めてしまい、負けてしまうことが少なくないといいます。

これは言い換えれば、人は「捨てる勇気」を持てないということです。それゆえに、それまでのアイデアの周辺でウロウロしてしまい、劇的な改善に結びつかないのです。

これは人間の根源的なバイアスでもあるため、特効薬を探すのは難しいですが、やはり基本は企画を通す立場に立って考えることです。微調整でなんとかなるのか、それとも抜本的な変更が必要なのか。日本のビジネスパーソンは明確に「ノー」ということを好まない人も多いため、判断は容易ではないですが、たとえば以下のような質問は有効です。

「この企画、点数をつけると何点ですか?」「問題は着眼点ですか、詳細の詰めですか?」

こうした質問によって抜本的な修正の必要性はある程度は判断できます。そのうえで、「最初の案にこだわるのではなく、捨てたほうが実りが多い」と判断したら、ゼロリセットして考えることをお勧めします。

人間の自然な思考からすると難しいことではあるのですが、だからこそ、そこで方向転換することでライバルに差をつけられます。また、そうした俊敏な対応力を身につけることこそが、これからのビジネスで永く成功する力を鍛えることにつながると認識しましょう。

タイミングが合っていない

ベンチャービジネスでも言えることですが、ビジネスは早すぎても遅すぎてもうまくいきません。これは外部環境(市場等の環境)、内部環境(社内の事情)の両方に左右されます。ここでは意外に見落としがちな内部環境に関して議論します。

ポイントは、タイミング良く企画を打ち出すことです。そのためには、社内の重要なアジェンダを正しく理解することが不可欠です。

たとえば自分が新しいデジタル商材の企画を考えていたとします。一方、会社には戦略や優先順位、予算というものがあります。会社がデジタル化をあまり意識していない段階でその企画を通そうとしても、難しいものがあるでしょう。逆に、会社がデジタル化に舵を切りたい場面であれば、あっという間に企画が通ることもあります。

次ページ企画を通すうえでの根回し
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