日本の通学路には鬼畜が野放しにされている 「PTA会長」というカモフラージュの怖さ

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犯人が、子どもを守ってくれるはずの見守り員で、しかもPTA会長だとベトナムで知らされたリンさんの父親は、「子どもの見守り役が犯人なら、どうやってリンちゃんを見守ることができたか」と、万全でない日本語で、悲しげに応えていました。

その一見淡々とした言葉に、精一杯の抗議や痛恨の念が溢れ、涙無くして聞けるものではありませんでした。

世界一安全だといわれる日本で、人一倍警戒心が強く(リンさんの母親の評)、防犯ブザーも持っていたリンさんが、家を出てすぐに、毎日子どもたちとハイタッチするなど親しげに交流していた「守ってくれているおじさん」に、連れ去られたのです。

「見守り活動をさらに見守る部隊が要る時勢なのか」(日経新聞15日朝刊)のコラムが、笑えない時勢となりました。きょうだい通学者か隣同士で連れだって通学する児童宅まで親が連れていくか、迎えに来てもらい、一人通学だけは絶対に避けなければならないという、悲しく危険な現実を突きつけられる悲劇でした。

仮面の奥を見破れなかったのか

犯人の性格の二面性は、今になって方々から指摘されています。ここまでの事件を起こすことは誰も予想できなかったとしても、PTA会長はふさわしくないと、警戒する声は出なかったのかと、悔やまれてなりません。

彼は不動産を相続しただけで、「地元の名士」として知られていたそうです。しかもPTA会長には自ら立候補し、児童の見守りや送り迎えに積極的に参加することで有名でした。

まだ明確になっていませんが、犯人は指定通学路から外れた近道を通るリンさんを、待ち受けるような地点にもよく立っていたそうです。それでも不審がられず、綿密な犯行計画に、「地元の名士」という評判とPTA会長という肩書が役立ったとすれば、皮肉です。

確かに彼は、遺族のベトナムへの渡航費用のカンパを率先して募り、また11日の、リンさんを殺めていなければ彼女が出席するはずだった入学式に参列し、来賓として「楽しい学校生活と、思い出をいっぱい作ってください」と、のうのうと祝辞を述べるなど、カモフラージュの天才です。

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