セミナーレポート

アステラス製薬・アシックスが取り組む
出張経費管理の今
VUCAの時代で求められる経営基盤のこれから

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経営基盤に大きな影響をもたらす間接費、とりわけ出張費を効率化するマネジメントを検討する「ビジネストラベルマネジメント2017」が3月10日に東京・千代田区で開かれ、間接費改革の視点や、先進企業の事例が紹介された。
主催:東洋経済新報社
協力:コンカー

基調講演
戦略的経営を実現するビジネストラベルマネジメントのベストプラクティス

コンカー
代表取締役社長
三村 真宗

世界で約4万社、日本でも時価総額トップ100内の2割以上、約600社が利用する出張・経費精算業務システムを提供するコンカーの三村真宗氏は「旅費は短期的な改善を見込むことができ、仕組みによる最適化が可能です」と述べた。特に単価・最適化余地の大きな海外旅費の場合、売上高1千億円の企業の場合、平均的出張費は売上高の1%・10億円だが、コンカー導入で20%削減でき、2億円の利益押し上げになると試算。「出張管理は重要な経営課題です」と訴えた。

コンカーのシステムは、最適な出張管理のため、ガバナンス、コスト、生産性、可視化、危機管理の五つの観点に対応。ガバナンスとコストについては、自社予約システムによって予約時に出張規程を自動チェックして不正を防止するとともに、推奨チケットの優先表示、優遇企業レート活用で費用低減を図る。生産性向上は、予約の一元化、確認の簡素化、セルフサービス化、ペーパーレス化で業務量を削減。可視化については、出張費の詳細を分析して規定外予約を把握し、リストアップされた常習違反者に警告することで、適正化を促す。危機管理は、出張者の旅程を管理して、テロや自然災害などの危機発生時にはショートメッセージサービス(SMS)で安否確認する機能を搭載した。コンカーでは、オープンプラットフォーム化、外部サイトとのパートナー戦略を推進。コンカー・トラベル以外での予約もデータ連携により、旅程管理や経費精算をコンカーのシステム上で一元的に行えるようにした。

デモンストレーション
出張コストの適正化と業務の効率化を実現する最新トラベルソリューション

コンカー
ソリューション統括部
部長
柏原 伸次郎

コンカーの柏原伸次郎氏は、海外出張の予約から精算手続きまでをサポートするコンカー・トラベルのサービスの画面を示してデモを行った。航空券予約は、行く先、日付を入力すると、会社推奨の便が上位に表示され、会社規定に合わない便はアラートマークが表示される。宿泊先は、オフィス周辺の地図上から選択でき、ここでも規定外のホテルはアラートマークが付く。旅程は、紙に印刷したファイルを持ち歩かなくても、モバイルアプリから閲覧可能。経費精算は、予約情報、法人カードの利用履歴のほか、電子レシート対応のホテルなら、電話代や駐車場代なども自動で取り込める。さらに出張手当を計算する機能もあり「ほとんど手入力せずに精算できます」と精算業務の手間の大幅削減を強調した。

カスタマーセッションI
グローバルカンパニーから見るBTMのあり方とは

アステラス製薬
調達部
部長
岩田 仁志

アステラス製薬の岩田仁志氏は「コンカーのツールには、ガバナンス向上の効果を期待しています」と話した。海外売上高が6割以上を占める同社は海外出張も増加。出張の申請・確認作業の効率化と、海外出張の必要性の管理も含めたガバナンス強化が課題だった。米国では十数年前に導入されていたコンカーを日本でも導入したのを機に、海外の予算ホルダーを出張の承認者とすることで予算統制を強化。出張者が旅費規程に反した予約をした場合に事前チェックできるよう、発券前に部門上司が承認するフローに変更した。「間違った承認をしないように上司の責任を強めることが重要です」と強調した。コンカーのクラウドシステムを海外グループ会社に導入したことで本社からの監視が可能になり、暗黙のガバナンスが働くようになった。「誰が何にどう責任を持つか、明確にしなければ、ツールだけではガバナンスは利きません」と業務フローの重要性を訴えた。

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