「いつか産みたい」人がハマる想定外出費の罠 30前半と35以降で不妊治療費は大きく変わる

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貯めておいたおカネはどこかで必ず使い道が生まれますので、不妊治療のための貯蓄というよりは、「もしも不妊治療を受ける事になったとき」の備えにもなる、というわけです。

不妊治療のことをパートナーに言い出せないものの、その可能性も意識している場合などは、「将来のために積極的に貯めておこう」と提案し、夫婦で貯蓄に取り組んでいくといいでしょう。

最後に、「困ったときには親も頼れ」というアドバイスもお伝えしたいと思います。

不妊治療のことを親に言い出しにくい、というのは自然な感情でしょうが、親の経済的サポートによって子どもの誕生(親からすれば孫の誕生)につながるとすれば、経済的な協力を惜しまない、という親は少なくないはずです。

おカネの問題で、不妊治療が中断してしまうくらいなら、経済的余裕のある親に相談してみることをお勧めします。相談してみると「そんなことならもっと早く言ってくれれば」という形で快く援助してもらえるかもしれません。ちなみに年110万円までは贈与税もかかりませんし、不妊治療の費用の援助としては十分だと思います。

助成金は、39歳まで最大6回利用可能

また、不妊治療の助成金(特定治療支援事業)を活用するという手もあります。体外受精・顕微授精について1回あたり15万円の助成金が受けられます。初回の治療開始時が39歳までであれば最大6回利用可能です。都道府県が独自に上乗せの助成を行うことや、市区町村が差額をさらに助成することもありますので、確認をしてみるといいでしょう。年収制限についても居住地の都道府県・市区町村のHPで確認をしてみてください。

「子どもが欲しい」と思ったとき、おカネの問題がそれを妨げるというのはとても残念なことです。1組でも多くの夫婦が、経済的な問題を気にせず、不妊治療に専念し、夢がかなえばいいな、と思います。

山崎 俊輔 フィナンシャル・ウィズダム 代表 ファイナンシャルプランナー

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やまさき・しゅんすけ / Syunsuke Yamasaki

1972年生まれ。中央大学法学部卒業。企業年金研究所やFP総研を経て2001年独立。全国紙などで連載。著書に『普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門』など。

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