なぜ多くの人が「貧困女性」をウソと思うのか

注目連載の舞台裏で起きていること

中村:そんな仕事はたくさんありますよ。正規職ではサービス業全般、それと保育、介護とか。あとハローワークにあるような非正規になると、おおよそ全滅。労働者派遣法改正の影響でしょうね。当たり前のことですが、企業が労働者のことを考えないで法律に合わせて限界まで賃金を下げて安く使うと、労働者は簡単に相対的貧困のラインに突入する。貧しい人は余裕がなくなるので、職場や人間関係が荒れたり、精神疾患になったり、家庭でDVが起こったり、負の連鎖ですよ。さらに最終手段である裸を売るセーフティネットもない。どんづまりです。

山田:職場で激しいモラハラやパワハラを受けている方も多い。第三者の目線では、そんな職場は辞めればいいようにみえてしまう。そのため、コメント欄には「何でこの人は逃げないの?」というような書き込みも非常に多い。

中村:逃げるという選択ができるのは、1つの能力です。経済的だったり、心に余裕があるから逃げる選択ができる。モラハラやパワハラ、ブラック企業に壊される人は、まじめで責任感が強い傾向がある。自分が悪いのではという葛藤から始まり、壊れるまで自分が被害を受けていることに気づかない。主に中年男性に多い加害者も、だから徹底的にやるんでしょう。「辞めないあなたが悪い」という自己責任論は、あまりにもズレていますね。

あと、話を聞いていると、多くの苦しそうな人は月5万円くらいが足りない。それは貧困支援などをしている人たちもわかっていて、その問題を解消するために最低賃金の上昇や住宅の低額提供などの政策提言をしていますね。

読者の「寄付」を受け取ることもできた

取材には編集部の高部知子(左)も同行。話を聞くうちに涙することも多いという(撮影:編集部)

山田:1月25日の記事(21歳医大生が「売春」にまで手を染めた事情)で紹介した21歳の医大生は、足りない金額が月3万円です。3万円のために売春をする。このとき支援をしたいという申し出が5通ほど来ました。

高部:この記事には男性からの反応がたくさんありました。「身体を売って学費を稼いでいるのは女性だけでなく男性も同じです」という学生からの声も。本当に悩ましい問題だと思います。

山田:2月14日の記事(45歳東大卒シングルマザーの重すぎる試練)で紹介した東大シングルマザーについては、3通ほど支援の申し出がありました。地元の社会福祉協議会を通じて寄付を受け取ることができたそうです。そうした善意の声がたくさんあることも今回、読者の皆さんに伝えたかった。編集部としては、当事者の意向を聞きながら、なるべくつないでいこうと考えています。

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