博報堂

職場は人生の宝石が得られる宝箱である

武井壮×博報堂

キャリアを積んでいく課程で、転職は人生を左右する大きなアクションとなる。その行動の起点は、いま熱中できるやりがいか、それとも遠く先にある自己実現のためか。今回、自分を魅せる力を持ち常に前進し続ける武井壮さんと、近年、高いパフォーマンスを生み出し続ける博報堂の若手社員との対談を実現した。個性を活かした芸能活動で、働く世代から好感度の高い武井さんと、中途入社組で博報堂営業マンに入社した小柳さんの対話から見えてくるのは、現状に甘んじない心、そして持つべきは自分らしさだ。

スペシャリストの定義をしよう

小柳さんは社会人6年目。くしくも武井壮さんも本格的に芸能に携わって5年(もっと長い印象があるが)、年齢は違えどもキャリアの近いお二人であり、その人生経験もまたそれぞれに興味深い。

── 小柳さんは博報堂へ転職してまだ半年ですが、その経緯を教えてください。

小柳竜巳氏(以下小柳):前職は大手の総合エンターテインメント会社でした。実は私、早実野球部出身で日本ハムファイターズの斎藤佑樹とは同級生です。ひじの故障もあってプロ野球の道は断念しましたが、スポーツを通じて人を熱狂させるエンターテインメントに興味を持つきっかけになりました。そして入社したのがその会社なのです。

しかし、仕事を重ねる度に、筋書きのないスポーツは、エンターテインメントとしては究極なのではと感じるようになり、あらためてスポーツと向き合い、あわせてクライアント企業の成長にも立ち会えるという、広い意味での経済活動に寄与できる仕事がしたいと考えて博報堂に転職しました。いまの業務は、クライアント企業のブランディング業務やテレビCMをはじめとしたメディアプランニングをしたり、起用するタレントさんやプロモーションの新しいかたちをご提案したりしています。

── 武井さんは現在の知名度、人気のなかで、その手応えを感じられたのは何年目くらいからですか。

タレント、マルチアスリート/武井壮さん(43歳) 修徳中学・高校を経て、神戸学院大学に入学。卒業後は中央学院大学にスカウトされる。大学時代に陸上を始め、競技歴2年半にして日本陸上選手権十種競技で優勝を果たす。野球や陸上をはじめ、ボクシング、ゴルフなどあらゆるスポーツをマルチにこなす能力から、「百獣の王」の異名を持つ。

武井壮氏(以下武井):反響という意味では1年目ですね。デビュー3ヶ月くらいで「笑っていいとも!」のレギュラーをいただいていたので。ただ、芸能のお仕事で売れた!やった!といった感覚はないですね。有名になったからコンプリートということがなく、パフォーマンスや見ていただく仕事は、やっぱり“削れる”んです。というのも1回テレビで見せたものは、もう1回ほかの番組でやったら、「いや、この間見たよ」ですし、1回した話も「あれっ、何か聞いたことあるな」です。毎日必ず自分の中にあるもの、能力だったり、知識だったりをアウトプットするので、それにインプットが追いつかないと、飽きられちゃって終わりですからね。常にそれを意識して追われています。

── がむしゃらとはちょっと違う、戦略的、計画的な考え方があると。

武井: 勝ち続けるためにはどうしたらいいだろうと考えるところから始まりましたね。最初のきっかけは小学校の運動会の徒競走で負けたくないと思ったとき。負けたくないから、小3から体育大学の教科書を読んで、自分のトレーニング理論を作って、学生時代にタイトルを獲得したり、ほかの選手よりも早く成長する姿を見せたりして、スポーツを自分の生業にしたいというビジョンができあがりました。誰かが作った仕事ではなく、“武井壮の時間”を仕事にしたいと考えていたんです。

── ちなみに、すごく似たキャラの人が出てきたなど、他者と比べるときはありますか。

武井: 全く無いです。唯一不安なのは「昨日の僕と今日の僕が変わっていない」こと。成長できないとか、自分の知識が増えない、能力が増えないまま、明日も同じ番組に出る、これは一番敗北感を感じます。ほかの誰が何をしていたかはそんなに気にならないですけれども、僕が何も成長せず1日を終えてしまうのが一番恐怖です。

だから、今、フィジカルトレーニングや新たなスキルのトレーニング、加えて知らないことを勉強する時間を毎日1時間ずつ設けています。最低限これさえやっていれば、明日は今日より多くのものをインプットされた僕でテレビに出られる安心材料になるんです。違う話ができるだろうし、違う能力を持って画面に映る事ができる。これだけは失わないようにしていたいですね。

博報堂第8営業局/小柳竜巳さん(28歳) 早稲田実業学校時代、同級生のハンカチ王子こと斎藤佑樹さんらとともに甲子園で優勝。早稲田大学卒業後、総合エンターテインメント会社でのキャリアを経て、2016年10月に博報堂に転職。

小柳:武井さんのお話を聞いて、はっとしますね。以前、先輩からも会社としての年間予算や戦略にコミットすることだけに目をとられていないか?と指摘されたことがあるんです。個人がどうあるべきか、自分が1年後、2年後、3年後にどうなっているか、そのために時間を使えているかと。それまでは会社のために一生懸命仕事をすることが何となくサラリーマンの美学といいますか、美徳だと思い込んでいた部分があったのですが、個人の成長なくして会社の成長には貢献できないですからね。今では、今日より明日、1年後、3年後にどう成長しているか?という個人の成長を考えることで、今の仕事のモチベーションにもつながっています。

── 進化ですね。武井さんが挑戦したいことを選ぶ基準はどんなものがありますか。

武井:いくつかあるのですが、そもそも学生時代に陸上十種競技を選んだのが間違いだったと思っています(笑)。

── えーっ、そんな、そうなんですか?

武井:いろんな競技があるなかで、スポーツに出会うのはほとんど子どもの頃ですよね。やりたいことを見つけなさいとか、どんな仕事をしたいんですかとか、どんな会社に入りたいんですか、どこの大学に入りたいんですかなど、高校を卒業して18歳で自分に対して選択するなんて、僕は不可能だったと思うんです。

学生時代をスポーツなどに費やして社会に出たとき、どんなリターンがあるか知らないまま、陸上十種競技については3年間費やして日本一の業績を上げたのに、社会ではこれしか手に入らないのか!と唖然としましたね。選び方が変わったのはそこからですね。まずは「それが好きかどうか」そして「それが社会でいかに需要があって楽しんでもらえる、使ってもらえる価値があるかどうか」。ピュアな考え方ではないけれど、競合も含め総合的に判断します。参入障壁が低くて、しかも成長するスピードが自分なら早そうだなということも考えますね。

── 来年あたり、新しい“武井壮像”ができる可能性もあるわけですね。

武井:どんな事でも、知ると楽しさがだんだん見えてきて、それをやっていくと技術が上がってくるので、それがだんだんお仕事で使えるようになってくる。たとえ1週間何かを本気でやるだけでも、人よりちょっとスペシャリストになれます。それを100個持っていると、使い勝手のいいタレントになれるんです。トップにならなくても、そういうステップさえもお仕事にできる芸能を選んだ理由はそこにあります。

スペシャリストの方が日本は多いんですけれども、各スポーツに専門家がいて、各業界に専門家がいて、職人さんがいて、みんな縦の高さを競うので、僕は、それを横に倒し幅でスペシャリストの高さを超えていたらいいやと思ってます。その横幅はたぶん、僕は今日本一じゃないかなと自負しているんですよ。

── かなりクリエイティブな発想ですね。小柳さんは高校野球でトップを取って、しかしケガがあり、そしてエンタメ、今は博報堂。可能性を追っているように見えますが。

小柳:6年前に武井さんの話を聞いていたら、もしかしたら違う分野に進んでいたかもしれません(笑)。プロ野球選手となった同級生の活躍を見て、昔は複雑な気持ちももちろんありましたが、逆に言えば、野球以外で人に感動を与えたいとの想いでエンタメの世界に入りました。一流のやクリエーターの方と作り込む世界です。その素晴らしさを感じつつ、やはり筋書きが無いと言いますか、決勝戦の再試合もそうですけれど、何が起きるか分からないライブのだいご味をもう1回仕事として向き合えないかなというところから、今の転職につながりました。結果として、スポーツだけではない多くのコンテンツや様々な企業のこの先の事業計画だったり、クライアントの成長といった部分で、広い意味で経済活動に寄与できる環境が広告会社という形で僕の中でマッチしました。プロを諦めたときのような自分で可能性を切るのではなく、博報堂で好きな野球を違うかたちで関われることも考えていますね。

自己ブランディングが大事である

── 広告会社へ武井さんはどういう印象をお持ちでしょう。

武井:タレントとして仕事を受けさせていただくということから考えると、価値ある人間と思ってもらえるようにいられたらと思います。僕は個人事務所なので、特に大きな責任を背負っています。広告会社さんは一緒にそれを支えていただけるパートナーだと捉えていますので、たとえばCMだとしたら、それが放映されるときに社会的に価値のある人間だと思ってもらえるように進化しなければというプレッシャーがありますね。広告の価値を上げるためには、僕自身のブランディングも重要ですから。本当はもっとお食事とかご一緒して、反響を伺いたいんですよ。マイナス面も指摘いただいて、理解や気づきを得たうえで、どう生かすか?というプランニングをしたいんです。

── 小柳さん、どうですか!

小柳:ここまでタレントの方が広告に対して思い入れやブランディング戦略があることが素晴らしいですね。本当にありがたいお話で、本来、プロモーションは1回のキャンペーンだけで終わらず、長期で捉えて、次のプランニングにもつなげることが重要なんです。

武井:実情を知るためのツールとしてエゴサーチもします。反応から学習です。それが成長につながるからですね。広告会社さんにそうしたフィードバックをいただければ、エゴサーチよりも分厚いデータが出てきますよね。

スポーツでいえば、スポンサーがつくのは選手個人ではなく、どうしても大きな大会に集中しますが、個人のブランドが大会を追い越すことがないのはもったいない。スポンサーは支援者なだけでなく、広告主でもあります。広告はサービスや商品を世に広くPRするためにあって、広告費よりも大きいリターンがなかったら成立しません。だから僕は、CMキャラクターに選ばれたら、いただいたギャランティよりも大きな利益を還元できる人物でいなければと思っているんです。

個人選手に投資してもリターンが少なければ、結局は大きな大会に広告を出した方がいいということになります。大会の価値は高まるけど、選手1人1人は大きく成長できないということが、スポーツをやっていたときに感じたジレンマでした。

それでもプレーヤーが価値を生めるはずだと思ったのが、芸能界入りしたきっかけです。いろんなキャラクターを作ったり、スポーツをしたりすることで、武井壮の像を作ってからスポンサードをいただけるようにと考えました。そして僕の価値がいただいた仕事の価値を下回らないようにすることが、タレントの最良の努力だと考えています。

好きなことに携わり、仕事にできる期待

── 小柳さんは今後、スポーツも担当していきたいですか?

小柳:僕はたまたま親の影響で野球を選びましたが、そこにはプロ野球のスター選手になれれば華々しい生活が約束される世界がありました。一方で、日本一になっても生活が成り立たないスポーツもあると思います。だからこそ、広告会社という立場で、マイナースポーツにも新しい価値を提供できるような活動やスポーツ選手の価値を最大化するお手伝いにも今後チャレンジしていけたらと思います。スポーツに広く携われるチャンスがあることも、博報堂を志望した理由として大きくありました。スポーツイベントへの協賛、スポンサーとしてクライアント様に大きな価値を提供できることに今から期待を膨らませています。

武井:たとえば野球であれば、スタジアムを満席にできる選手が揃う業界です。陸上は日本一を決める試合に出られる選手はだいたい5000人。だから、1人10人観客を呼べれば5万人でスタジアムが満席になる計算です。でもそれすらできていない。戦後以降、これまでどのスポーツもレベルを高めてきましたが、集客で成功しているスポーツは数少ないです。まずは著名な選手をより多く育ててお客さんを呼べる状況を作るべきだと僕は考えています。実は、そういうところに暗にメッセージを送れるような芸能活動ができればと考えているところもあるんですよ。

小柳:今の武井さんがもし野球をやるなら、私もお金を払ってでも見に行きたいですし、そういうことなんだろうなと思います。

武井:日本のスポーツってゲーム全体というより、選手を見たくて見る事が多いんです。ひとりの選手が何千人もの観客を呼べるのが理想。どのスポーツもそうなれれば圧勝です。ぜひ博報堂でそうした働きかけをお願いします。

小柳:アスリートの価値の最大化は広告会社としてチャレンジできると思っています。それとは別に、博報堂に転職して強く感じるのは、多彩な人材が多いこと。博報堂には「粒ぞろいより、粒違い。」ということばもあるのですが、みなさん一芸に秀でていて、その個性のかけ算とチームワークで、よりいいもの、高い価値を提供することに長けている会社だと感じています。だから、そんな能力を集めて最大化する人事的な仕事にもいつかチャレンジしてみたいと考えています。

── 武井さんのいろんなご発言に、一瞬お二人とも広告会社の方のように錯覚しました。こうしなきゃといったアイデアや考え方というのは、広告会社みたいな専門の会社のイメージがあったので…お二人が組むとちょっとおもしろいのかなと思いました。

武井:個人でやっているので、自分が自分の広告マン。自分の戦略を考えるのは自分だし、自分が発言する内容を考えるのも僕、実際に出ていくのも僕で、そこに投資するのも僕だから、一人で零細な広告会社みたいなものなんですね。

── 最後に、小柳さんにエールを

武井:今後、博報堂で大きなプロジェクトを任されることもあると思いますが、仕事に対する義務感だけだと、心が折れるときが出てくると思うんです。結局は会社も個人の集合体。だからこそ、毎日が自分史上最高だといえるような日々を送って成長し続ければ、おそらくどんな目標でもかなうはずです。モチベーションを一生失わずに済むような自分なりの仕事のかたち、生き方を作ることは重要です。

小柳:ありがとうございます。ぜひいつかお仕事をご一緒させてください。

転職を考えている世代に武井壮さんから“生アドバイス”

そうだなあ。。。博報堂さんには怒られるかもしれないけど、言えるのは自分の人生のために最大限会社を利用したほうがいいということ。会社の事業、人脈、携わる全ての事柄においてね。会社は自分の人生のプラスになる「宝石が入っている箱」のような存在だと思う。箱の中に入ってみて、どうぞ宝石もっていってくださいという環境だと思ってほしい。与えられた仕事のためだけに時間を費やして、自分のポケットに宝石が入っていないのはつまらない。より素晴らしい人生のために宝石をガンガンポケットに詰め込んでキラッキラな人生を歩んで欲しいです!

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