「歴史の教え方」は、日米でどう違うのか? リベラルアーツ流の「考え方を考える」授業

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“M”を実際に見た後、本当に何にも書く内容が思いつかなかったので、とにかく長い時間考えていました。

そこで、トーマス・マンのときのことを思い出し、系統化して考えてみました。

・この映画が取り扱っている時代はいつか?その特長は?

・オーディエンスは誰だったのか?

・何を目的としているのか?

このように考えていると、ある瞬間ズシャッと思いつくことがあったりします。熱く語ってしまうとあと5ページは語れてしまうので、すごく簡略化すると、「この映画に描かれている連続殺人犯の心理構造と、この映画を見ている1931年のドイツの人々の心理構造は全く同じものである」と私は分析しました。

これだけだと訳が分からないと思うのですが、これに気がついてからペーパーを書き始めると、それに関連したことがわっしゃわっしゃと思いついて一気にペーパーが書けました。それらを”M”に見出せた時の感覚ってもう嬉しすぎて、母と姉にスカイプで30分ずつかけて説明してしまいました。迷惑ですね。

20世紀の記憶

というわけで最近歴史について色々と考えているのですが、アメリカに来てから、日本人として、やはり第二次世界大戦に関して考えさせられることが多くあります。そこで自分の中での何回も考えるようになったテーマが、20世紀、特に第二次世界大戦の記憶に関してです。

・ 戦争を経験された世代と私たちの間でどのように戦争の捉え方は違うのか?(経験と知識の違い)

・ 戦争を経験していない自分たちの責任は何なのか?

・ 私たちは第二次世界大戦についてどのように理解し、どのように今後に繋げて行くべきなのか?

このテーマは本当にすぐに答えが出るようなものではないと思いますし、出ていいものでもないと思います。ですが、これに関して今後も様々な文献を読み、自分で考え、人と対話をすることを通して考えていきたいと思っています。

(構成:アゴス・ジャパン 後藤道代)

佐久間 美帆 米ウィリアムズカレッジ2年生

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さくま みほ

1992年生まれ。東京学芸大学附属高校卒業。2011年、東京大学文科一類合格。1学期間東京大学に通った後、同年秋から米国マサチューセッツ州のWilliams Collegeに入学。アゴス・ジャパンのホームページで「佐久間美帆のリベラルアーツカレッジレポート」を毎月更新
 

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