鉄道マンが「見えない」を体験して見えた課題 体験すれば広がる?視覚障害者への「声かけ」

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西武鉄道が実施した視覚障害者への対応スキル向上のセミナー。同社の後藤会長らも参加した(撮影:風間仁一郎)

昨年8月に東京メトロ銀座線・青山一丁目駅で起きた視覚障害者の転落事故を契機に、急速に高まった駅ホーム上の安全確保に対する関心。特に注目を集めているのはホームドアの整備だが、時間もコストもかかるハード面での対策には限界もある中、駅員による「声かけ」などソフト面での対策強化も求められている。

西武鉄道は4月6日、視覚障害者への対応や案内のスキル向上を目的としたセミナーを西武球場前駅(埼玉県所沢市)で開いた。駅係員や乗務員のほか、本社勤務の役員や後藤高志会長、若林久社長も参加。日本盲導犬協会神奈川訓練センターの協力により、白杖を持った人や盲導犬を連れた人への案内方法や、社員がアイマスクを着けて見えない状態を体験するなどの講習を行った。

アイマスクを着けてホームを歩行

「うわっ、どこにいるのか全然わからないな」「真っすぐ歩いてる感覚がないよ」。2人1組で行った、視覚障害者の案内を体験する講習の一幕。アイマスクをした制服姿の駅員や車掌らは口々に驚きの声を上げた。

「改札口では『手を失礼します』と声をかけながら手を取って、改札機の場所に手を誘導するのがわかりやすい方法です」「電車に乗るときは、手を取って車体に触れてもらうと(ホームと車両の間が開いている場合も)距離がわかります」。セミナーの進行役を務める日本盲導犬協会神奈川訓練センターの安保美佳氏による解説を受け、誘導役の参加者たちは「改札口です。お客様の右手を失礼します」などと視覚障害者役の相手に声をかけながら、自動改札をそろりそろりと通り抜けた。

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