グランクラスより儲かった国鉄の「特別座席」 1カ月ちょっとで元が取れた「パーラーカー」

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パーラーカーの図面。図の右側が区分室、左側が開放室である(国鉄制作のパンフレットより 所蔵:山口雅人)

3つの案について、適宜引用を交えて紹介しよう。

第1案は「こだま」「つばめ」「はと」とも同一の12両編成とし、なおかつパーラーカーを連結しないというもの。編成は二等車が4両、三等車が7両(うち1両は1両の半分がビュフェ)、食堂車が1両である。それまで三等車であった2両の先頭車のうち、1両を通常の構造の二等車としたが、この程度であれば東海道新幹線の開業後、ほかの路線へ転用する際にもそれほど大きな問題は生じない。

この案で追加で製造される車両の数は47両。製造費は12億5000万円(現在の貨幣価値に換算して約71億3000万円)と見込まれたから、1両当たりの製造費は2660万円(同約1億5200万円)となる。総勢71両となる151系はうち48両が営業に使用され、23両が予備として待機するという運用を組む。

「こだま」「つばめ」を共通化するか

第2案は「こだま」「つばめ」「はと」とも同一の12両編成とし、なおかつパーラーカーを連結するというもの。編成はパーラーカー1両、二等車が4両、三等車が6両(うち1両は1両の半分がビュフェ)、食堂車が1両である。

この案では、追加で製造される車両の数は48両。製造費は12億9000万円(現在の貨幣価値に換算して約73億6000万円)、1両当たりの製造費は2690万円(同1億5300万円)だ。151系は総勢72両となり、うち48両が営業に使用され、24両が予備として待機する運用を組む。

第3案は「こだま」と「つばめ」「はと」とを異なる編成とするもの。「こだま」は現在の三等車が10両(うち2両は1両の半分がビュフェ)、2両が二等車で、「つばめ」「はと」の編成は第2案と同じである。

この案で追加で製造される車両の数は60両。製造費は15億8000万円(現在の貨幣価値に換算して約90億1000万円)、1両当たりの製造費は2630万円(同約1億5000万円)となる。総勢84両となる151系はうち48両が営業に使用され、36両が予備として待機するという運用を組む。

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