結果を出す人は「1人で100点」を目指さない 慕われるリーダーがこっそりしていること

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八島は、「人脈、なかでも仲間をつくるためのコツは、まずは自分の立場だけで仕事をせず、相手の立場を理解して全体最適を意識して仕事をすること」だと話します。

「人脈は広いに越したことはありませんが、何から手をつけたらいいか、解決の方向性すらわからない場合に頼りになるのは、やはり仲間と呼べるような存在です。立場を超えて共通目標のために困難な仕事を一緒に乗り越えた仲間は、お互いの考え方がわかっているし、信頼関係があります。自分一人でうんうん悩んでいたことを、ひと言相談してみたら課題が整理され、結果その部署の協力も得られて一気に解決する、といったことも多くあります。結果として相談してみたら課題が整理され、その部署の協力も得られて一気に解決する、といったことも多くあります。

とはいえ、こういう関係は一方通行では成立しません。お互いさまですから、まずは自分自身が立場を超えて全体最適を意識した仕事をすること、職場のキーマンになること、相談されたらできるかぎり誠実に対応することを心掛けています」

40年以上整備部門に在籍し、ANAビジネスソリューションでヒューマンエラー対策講師も務める宮崎志郎は、そうした人脈を社外にも広げていると言います。

「航空業界とは別の業界の方々と交流するようにしています。お互い忙しいので会うのは数カ月に1度ですが、まったく違う業界の方々と、人財育成についてよく語り合います。『どのようにしたら人が納得して行動するか』など、社内にいたら出てこない話を聞けるので、自分の選択肢が増えます」

仕事が大きくなればなるほど、1人でできる範囲は小さくなります。そういうときに大切なのは、「誰を巻き込めるか」「人がついてきてくれるか」なのです。

なお、後輩に自分の仲間をつなぐことも大切です。自分の仲間を通じて課題を解決するときには、自分と仲間だけで解決するのではなく、相談・調整の場に後輩を同席させることをおすすめします。

そうすると後輩は、難題の解決プロセスを実体験できますし、何より後輩があなたの仲間という最大の武器を手に入れることができます。やがてあなたの仲間と後輩が新たな仲間となり、新たな課題をともに解決することになるでしょう。

ANAでは後輩に教えてもらうのは当たり前

自分が新人だったときは、何をするにも先輩の意見を聞いたり、先輩からチェックを受けていたのに、「教える立場」になった途端、教わることをやめてしまった――自分自身を振り返ったとき、そんな状態になっていないでしょうか。

当然、誰からもうるさいことは言われないので、仕事を進めるうえで面倒くささは減ります。しかし、「教える立場」としてだけ振る舞っていると、いつの間にか、周りの人から「教わる」機会を失ってしまうことになります。そうした状態が続くと、徐々に現場感覚が失われ、プレーヤーとしてもマネジャーとしても、成果が出なくなってしまいます。

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