不動産投資は長期的な安定収入が目的 顧客の気持ちに寄り添う管理
自己資金と繰り上げ返済がポイントのマンション投資
「ワンルームマンション」に特化したことにも、合理的な理由がある。ファミリーマンションはワンルームマンションに比べて購入価格が高いため、当然投資効率を表す利回りも低くなる。さらに、入居者が退去した場合、次の入居者募集に向けて室内をリフォームするが、部屋が広い分、リフォーム費用も高額になり空室期間も長くなる。「そもそも、ファミリーマンションは賃貸よりも購入する世帯が多数を占めていて、賃貸需要の厚みに大きな差があるのです」。
一方、2015年の相続税増税をきっかけに、アパート経営も注目を集めた。確かに、不動産経営は土地・建物の相続税評価額を圧縮して節税にはつながるが、それはあくまで副次的効果と考えるべきだ。こうしたアパートの多くは人口が減少している地方や郊外に立地しており、将来の賃貸需要に不安が残る。そうした状況を考えると、地方や郊外のアパート経営は、将来的な空室リスクを十分考慮しなければならない。将来を考えた不動産投資で、最も重視しなければならないのは立地なのだ。
では、大きな資産を持たないサラリーマンでも、東京都内の物件で不動産投資を始めることができるのだろうか。その疑問に重吉社長はこう答える。「立地のよい都内の中古ワンルームマンションでも、おおむね不動産価格の5%程度の自己資金があれば、ローンを組んでスタートすることが可能です」と。
自己資金を出して始めれば、入居者から得られる家賃収入でローンを返済していくことができ、加えて繰り上げ返済を同時に進めていけば、完済までのスピードを速めることができる。子どもの学費などで繰り上げ返済ができない時期があっても、家賃収入によってローンは着実に返済される。「ですから、不動産投資はできるだけ早い時期に始めたほうが、より大きな資産形成ができるのです」。
一番のリスクは借金
ローンとの正しい付き合い方がポイント
現在の低金利も、サラリーマンが不動産投資を始めるうえで追い風になっている。管理会社を通したマンション経営を考えた場合、管理費、修繕積立金に管理代行手数料等を加えたランニングコストを差し引くと、利回りはおおよそ4~5%だという。「現在、当社の提携ローンの借入金利は1.5%程度ですから、手取りの利回りと借入金利の差がプラス2~3%になります。ローンを組んでいただき、家賃収入だけで金利と元本が返していけるのです」。
もちろん、不動産投資にはリスクがあることも認識しなければならないと重吉社長は釘をさす。「一番のリスクは借金です。自己資金なしで始められ、数億の資産を作れるなどと謳ったセミナーも見受けられますが、多額の借金をせずに繰り上げ返済をまめに継続していくことが、ローンとの正しい付き合い方なのです」。
さらに、物件を選ぶのと同じくらい重要なのが、賃貸管理会社選びだと強調する。「パートナーとしてどの賃貸管理会社を選ぶかによって、不動産投資で得られる利益も大きく変わってくるのです」。その最たるものが入居率で、空室が発生した際にいかに早く次の入居者を決められるかというリーシング力が管理会社選びの重要な基準になる。ただし、業者によっては最も入居率の高い3月の数字だけを公表しているところもあるので、算定基準にも気を配る必要がある。ちなみに日本財託では年間を通して入居率98%以上が維持され、管理戸数も毎年ほぼ1500戸ずつ純増。現在、約6400人のオーナーから1万7000戸の管理を請け負っている実績が、その管理力を裏付けている。