公明党は「独特のバランス」を崩していない 「百合子グリーン」の3面ポスターが持つ意味

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「自公の危機なんて、もう終わった話だ。一時は自公の幹事長、国対委員長同士の関係がよくないと報じられたが、“共謀罪”が6日に審議入りすることが決まって以来、すっかり“平常化”している」

筆者の問い合わせに対し、公明党の中枢を知る関係者は屈託のない声でそう語った。2017年度当初予算が3月27日に成立し、会期の後半に入った今国会。これからは山積する重要法案に取り組むことになるが、債権規定を改定する民法改正や強姦罪の名称を変更して厳罰化する刑法改正を優先すべきと主張していた公明党は4月3日、組織犯罪処罰法改正を重視する自民党と最終的に折り合っている。

その理由は野党対策だ。民進党など野党は、国会の先例に従って先に提出された刑法改正から審議すべきだと強く主張。これを見て、自民党と公明党は「いずれにしても野党は寝る(審議拒否する)だろう。ならばより重大な“共謀罪”を刑法改正より先にやるべき」ということで合意した。

「そもそも党内にも、“共謀罪”からやるべきという意見もあった。全党一致して自民党と対立していたわけではない。ましてやこれを都議選と絡めて連立解消の方向に語るには不適当だ」

公明党関係者はこう語るが、実際には公明党が自民党に譲っている。

「嫌なら出ていけ」にも動じず

さらに自民党の幹部の声として報じられた「嫌なら出ていけ」という言葉に対しても、同じ公明党関係者は「あれは下村博文自民党都連会長の周辺の声にすぎない」と割り切ってみせた。

安倍首相夫妻が巻き込まれている森友学園問題についても、「これが原因で内閣支持率が大きく下がっている様子はない」と静観を決めた。すなわち公明党は、一連の問題に対して“大人の対応”を貫こうとしているわけだ。

ではまったく公明党にこだわりがないかといえば、そうではない。自民党東京都連に対して不信感があることは顕著に見てとれる。

まずは昨年7月の東京都知事選だ。

「われわれは自民党東京都連が擁立した増田寛也氏を全力で応援した。しかし肝心の自民党は、さほど動かなかった」。こう証言するのはあるベテランの公明党都議。不満が爆発したのが「議員歳費削減問題」だったという。「事前にメディアに漏らしたのは都議会公明党の東村邦浩幹事長だと自民党は批判したが、そもそもリークしたのは自民党のほうだ」(同都議)。

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