中国共産党がすぐ倒れるわけもない
ちなみに“共産党崩壊論”に関してだが、実際のハナシ、少なくとも漢族の中国人は共産党の過去20年の経済発展の歩みを高く評価している人がたいへん多い。機能しない民主主義で右往左往してきた日本をはじめとする周辺国をみて、「アジアに民主主義はなじまない。日本を見ていると共産党1党独裁でよかった、と思うくらいだ」と私に(冗談も込めてだが)言ってくる中国人は少なくない。シンガポールをはじめ、1党独裁でもうまくいく国はうまくいき、国民の支持が必ずしも低いわけではないのだ。
またシャドーバンキングの問題で中国経済が崩壊というのも非現実的だ。民間セクターの負債よりもはるかに巨大な国有の銀行が不良債権を大量に抱え続けてきているが、なぜそれより規模がはるかに小さい民間金融の不良債権で経済が崩壊するのか、と私の友人である香港勤務の中国人バンカーは語る。政府は(これで十分とはいわないが)数年前に某地方都市で不良債権問題が明るみになってから、不良債権の拡大を抑える処置をとってきたという(実際数年前から、不動産高騰を抑えるために投機筋の資金が流れないようになっており、実際に住まない2棟目のマンションは買えなくなっていたりする)。
また中国は、アメリカやOECDの多くの諸国にとって最大ないし主要な貿易相手国であり、利害関係が深い中国が百万歩譲って“数年で崩壊”するようなことになるのを、アメリカやヨーロッパは座視しない。
別に私がもろ手で共産党政府を支持しているわけでは決してなく、つっこみどころも満載であり、また、不良債権がいったいいくらあるのかわからないのは怖いが、それでもセカンドティア、サードティアの都市の開発や農村から都市への人口大移動、投資から消費を中心とした経済構造の転換に加え、大規模な国営企業の民営化など、豊富な資金力と合わせ、中国には不良債権問題の調整の後も、引き続き成長のカタリストがたくさんあるのだ。
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