競馬「GⅠレース」が別格の興奮を呼ぶ理由 季節ごとに変わるファンの楽しみ方とは?

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4月2日に阪神競馬場で開催された「大阪杯」を制したのは、武豊騎手のキタサンブラック。大阪杯は今年GⅠに昇格したばかりのレースだ(写真:山根英一/アフロ)
何しろ競馬は面白い。だからその醍醐味が、世の中にもっと広く知られるようになってほしい。これは競馬に携わるものに共通の願いだ。ところが、競馬は初心者にとってとっつきにくい。釣りと同じように、最初にガイドが必要なレジャーなのだ。楽しむためにまず覚えなければならないことがそれなりに多い。
それでも、興味はあるけれど楽しみ方がわからない人が、競馬を楽しめるようになってほしいと思う。年季の入ったファンにとっても、奥深い本質に迫ってより楽しむために、基本に立ち返る意義は大きいだろう。地方紙の競馬記者である私自身、「今さら聞けない」とは言わずに、この機会にあらためて勉強し直すスタンスで臨んでいる。時には楽しい脱線も交えつつ「競馬のキホン」をお伝えしていこう。

 

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中央競馬は今年からGⅠレースが2つ増えた。4月2日に行われた大阪杯と12月28日に行われるホープフルステークスである。待望久しかった大阪杯は、春の4歳以上の中距離GⅠに昇格。年々増えていたドバイなどへの海外遠征に一定の歯止めをかけて国内競馬を盛り上げる狙いがあった。

結果的にキタサンブラックもマカヒキも国内に残り、GⅠ昇格初戦の大阪杯は盛り上がった。レースを快勝したのは、1番人気だった武豊騎手のキタサンブラック。3歳時の菊花賞、昨年の天皇賞・春、ジャパンカップにつづくGI4勝目をマークした。

GⅠが2つ増えてJRAのGⅠは年間26レース。このうち2つは障害競走のGⅠだ。平地競走のGⅠは24レースになった。前人未到のJRA平地GⅠ完全制覇に向けて、残りは朝日杯フューチャリティステークスだけだった武豊騎手だったが、GⅠが2つ増えたことで残りはあと3レースへと逆戻りした。

「JRAは増やしちゃうんですよ」と笑う武豊騎手。大記録へ向けて番組の改変が思わぬ形で影響する結果となったが、大阪杯でキタサンブラックをGⅠ昇格後の初代王者に導き、大記録へあと2レースへと押し戻したのはさすがというしかない。

そもそも「GⅠレース」とは何なのか 

そもそも、この「GⅠ」とは何だろうか。競馬のレースはクラスによって分かれている。その中で「GⅠ」は最上位に格付けされるレースだ。中央競馬は馬の年齢や収得賞金の額に応じてクラスが分けられている。基本的には1勝するごとに上のクラスにステップアップしていく。

2歳の6月から始まる新馬戦でデビュー。ここで勝てなかった馬は未勝利戦に回る。1勝すれば「500万下(収得賞金が500万以下の競走馬が出走)」に。2歳や3歳の春まではこれで最上位のオープンクラスに上がる。

3歳夏以降は2勝馬の大半は「1000万下(収得賞金は500万円以上1000万円以下)」に。さらに勝てば「1600万下(収得賞金は1000万円以上1600万円以下)」となり、ここを勝てばオープンクラスに昇級する。オープン馬が戦うレースが「重賞」と「オープン特別」となる。

重賞の特徴は2着でも収得賞金が加算されること。オープン特別は条件クラスのレースと同じように勝ち馬にだけ収得賞金が加算される。

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