50代ビジネスマンが「バブル」を再考する理由 あの時代の目撃者が重い口を開き始めている

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「バブル本」に注目が集まっています(写真:bee / PIXTA)

イトマン、イ・アイ・イ、光進、秀和、投資ジャーナル――。

東京都心に務める50歳以上のビジネスマンの間では最近、こんな社名が話題となることが増えている。今から30年前、経済メディアを騒がせた「いわくつき」の会社だ。キーワードは「バブル経済」である。今、都心の書店を訪れて目にする光景は「バブル本」の豊富な品ぞろえだ。

「あの時代」を振り返った本が大きな話題に

イトマン事件と住友銀行の暗部を描いた『住友銀行秘史』がベストセラーになった後も、元日本経済新聞記者の永野健二氏が書いた『バブル 日本迷走の原点』、野村證券出身の横尾宣政氏が書いた『野村證券第2事業法人部』などが発売され、それぞれ大きな話題を呼んでいる。

1980年代後半から数年間、この国をのみ込んだ熱狂がバブル経済だ。引き金は1985年の「プラザ合意」だった。1ドル=240円だった円はプラザ合意後の1年後には同150円の水準まで跳ね上がる。

大打撃となったのは、自動車や電機など日本経済を牽引してきた輸出産業だった。1986年、「円高不況」が深刻化すると、当時の中曽根康弘首相は内需刺激のために大規模な財政支出や金融緩和を断行した。

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それが思わぬ「副産物」を生む。バブルだった。異常な地価と株価の高騰。1985年に1万3000円台だった日経平均株価は1989年の年末に4万円まであと一歩に迫る史上最高値を記録したが、それも実態を伴わないものだった。

「マハラジャ」「ジュリアナ東京」「ボディコン」。この30年間、バブルといえば、華やかなトレンドの歴史として語られることが多かった。あるいは、学者による経済政策論や金融システム論などだろうか。

バブル時代を知る、普通のビジネスマンにとっては、東京・六本木の不夜城の話も、教科書に載るようなバブル論も縁遠い話だった。日経新聞に掲載される株価や土地高騰のニュースを見ては、びっくりしたり、ため息をついたりするのが、バブル時代の日常だったはずだ。そんなビジネスマンにとって知りたいのはただ一つ。「あのバブル時代、その裏側でいったいどんなことが起きていたのか」。臨場感の伴った「肉声」を聞きたかったのである。

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