「偽ニュース」も宣伝に使うハリウッドの商魂 「非合法では?」と言われようとも…

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「バズフィード・ニュース」では、これがクリック数で最大のヒットになったと報じています。「ドナルド・トランプが予防接種を一時的に禁止する」という記事や、「映画『A Cure for Wellness』を観た後で、緊張性昏迷状態に陥った男性がいた」という記事もありました。

宣伝用に作られた5つもの「偽ニュース」サイト

「サクラメント・ディスパッチ」、「ヒューストン・リーダー」の他、「ソルトレークシティ・ガーディアン」、「NYモーニング・ポスト」、「インディアナポリス・ガゼット」と3つが加わり、計5つの偽のニュースサイトをこの映画の宣伝用に立ち上げたことを確認しています。

「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズで知られるゴア・ヴァービンスキー監督作である『A Cure for Wellness』は、デイン・デハーン演じる主人公の若手社員が行方不明になった会社のCEOを探すため、アルプスの謎めいたクリニックに行くストーリー。そこで施される温泉療法の裏には…といったストーリーになっています。

20世紀フォックスによると、「『A Cure for Wellness』は病気を悪化させる、インチキ治療をテーマにした映画とのこと。そして、キャンペーンの一環として偽の健康サイトhealthandwellness.co(現在は他と同様にリダイレクトされます)を作り、フェイクニュースのクリエーターと組んでフェイクニュースを流しました。そして、映画の主人公のセリフのように説明しました。「病気とは実は自分たちの中にあるもの。自分は何を病んでいるのかがわかったときに初めて、治療法を見つけたいという気持ちになる」ということなのです」と。

つまり、これは「post-fact(ポストファクト:人が感情的に実際に起こったことだと納得してしまう虚構)に満ちたアメリカに起きている恐怖と疑惑の風潮」を利用した、極めて軽薄な宣伝なのです。が、とりあえず拍手をおくることにしょう…。そして、この記事自体も「その一環では?」と疑った人にも拍手をおくることにしましょう(笑)。その心意気が大切なのだと思いますので…。

By Emma Dibdin on February 14, 2017
Photos by Esquire US
ESQUIRE US 原文(English)
TRANSLATION BY Spring Hill, MEN'S +
※この翻訳は抄訳です。

「エスクァイア」編集部

1933年にアメリカで創刊した、世界有数の男性誌のネットメディア。ファッションやライフスタイルにとどまらず、アート、カルチャー、時事ニュースなどを配信する

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