スカイマークが破綻から急復活できた舞台裏 「安売り」「羽田依存」のジレンマは不変だが…

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スカイマーク復活の要因について、航空経営研究所の赤井奉久所長は「元の姿に戻ったことが大きい。基本は羽田拠点のLCC(格安航空会社)モデルなので、普通にやれば利益が出る」と指摘する。

LCCは単一機種の航空機で稼働時間を長くすることで利益を出す。現在、スカイマークはボーイングの小型機「B737」のみで多頻度運航を行っている。同社最大の羽田─福岡線は1日11往復を運航する。ピークだった2012年3月期に営業利益率が2割に達したのと同じ仕組みだ。

破綻前より旅客単価が下がっている

市江正彦社長は日本政策投資銀行でエア・ドゥなど航空会社の再建を担った経験がある(撮影:大澤 誠)

だが「LCCとは違う」と、佐山会長は断言する。座席の前後間隔はLCCが約70センチメートル。スカイマークは大手と同等の約80センチメートル。

手荷物預けは20キログラムまで無料(LCCは有料)。ネスレと提携し、一部路線ではコーヒーや菓子の無料提供も始めた。

さらに定時運航と欠航の削減、サービス向上も進めている。昨年10月には市江社長直轄で定時性向上に取り組む組織を設置。破綻前の2014年度は定時出発率が8割前後だったが、2016年度は平均で9割と、業界大手と遜色ない。

西久保時代から変わっていないのは価格戦略だ。国内線客単価の推移を見ると、スカイマークは破綻後も下落が続いている。市江社長は「空席に応じて変動する運賃を利用して、早めに購入する客層が厚くなったため」とする。結局、顧客の利用動機として価格が大きいのが実態だ。

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