"中華スマホ"は「安かろう悪かろう」じゃない アップルも後追いする、真の実力とは?

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中華系メーカーがこれだけ伸びている要因は何か。もちろん、世界最大の国内市場があり、国内で高い人気を獲得していることが挙げられる。だが最近では海外へ積極的に進出し人気を獲得しているメーカーも多く、そのことがシェア向上に大きく貢献しているのだ。

ZTEは北米市場で4位のシェアを獲得しているほか、欧州でもサッカーチームのスポンサーシップを進めるなどプロモーションを積極化。先進国を狙った市場開拓を進めている(写真:筆者撮影)

中華系メーカーが強みを発揮する地域は、アジアや欧州などのSIMカード(端末に挿す、通信に必要なカードのこと)とスマホを別々に購入することが多い国々である。

これらの国は、日本の大手携帯会社のような、端末と回線サービスをセットで販売し、端末代金を大幅に値引きするビジネスモデルが一般的ではない。消費者は安価な端末を選ぶ傾向が強く、それゆえにコストパフォーマンスが高く、豊富なバリエーションを持つ中華系メーカーが人気なのだ。

積極的な投資で“安さ”以外の価値を作り上げる

ここで勘違いしてはいけないのが、中華系メーカーの端末は単に価格が安いから売れているわけではないということ。すでに「中華スマホ=安かろう悪かろう」という図式は成り立たなくなっている。

確かに、以前の端末を振り返ると、価格は安いものの、大手メーカーと比べて性能面で劣る端末が多かった。デザイン面でも、世界的に人気のあるiPhoneやGalaxyシリーズを模倣したものが多く、“パクリが多い”という印象を与えていたことも確かだろう。

しかしながら、ここ数年で状況は大きく変わった。中国など新興国でのスマホ需要の高まりとともに、低価格に強みを持つ中華系メーカーは販売台数を伸ばし、利益も拡大した。得た利益を元に研究開発やデザイン、品質管理などにも積極投資するようになったことから、機能やデザインで独自性を打ち出すメーカーが増え、端末の品質も急速に改善されているのだ。

この流れを象徴しているのが、昨年日本でも発売されたファーウェイの旗艦モデル「P9」である。P9は老舗カメラメーカーの独ライカと共同で開発したカメラレンズを採用し、さらに2つのカメラを搭載して背景に「ボケみ」のある写真を撮影できる「デュアルレンズ機構」を取り入れたことなどで人気となった。

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